強迫

私はどう考えても強迫性障害だ。医者が安易に病名を告げたがらないだけで、私に病状の説明をする時、完全にそれと同じことを言っている。確認行為は依存行為だとか、強迫依存症摂食は密接な関わりがあるとか、昔あなたと同じようなタイプの受け持ち患者さんが死んだんだとか言われた。

自覚したのは2年以上前である。今もそうだが、その頃は症状が本当に恥でしかなかった。
確か、摂食障害になるまで医者にすらそれを言えなかった。
食事のことはダイレクトに命に関わるので摂食という別の名前がついているだけで、私の場合、根本は強迫だ。
ちなみに阿保な話、最初は摂食に関しても言うつもりはなかった。デブのくせにこんな事で死ぬほど悩んでいるだなんて、バカバカしくて言う気になれなかった。
唯一相談していた知人にマジで言えと叱られたのでどうにか言ったわけだが。1年以上かけて摂食は8割寛解したが、四六時中食に囚われる、無駄な時間を過ごした。
うつでもあったので、摂食強迫でなかろうと、濃くてペラい日々だったことには違いない。

強迫はいまだにどうしようもない。最近まで、寝る前に
換気扇切った?風呂抜けてる?電気消えてる?トイレ流れてる?ストーブ切った?冷蔵庫冷凍庫のドア閉まってる?窓閉まってる?コンセント抜けてる?鍵と眼鏡とiPadとApple Pencilとイヤホンと財布とカードある?ドライヤーのコードの巻き方は?剃刀の向きは?等の不安要素をそれぞれ平均15回くらい確認しないと眠れなかった。その作業に30分はかかっていて、寝るのが億劫であった。

決定的な治療法は「確認行為をしない」しかない。
眠れない日もあったが、根性で努力してそれぞれ3回くらいの確認で済むようになった。

寛解に近づいたと思いきや、今度はど田舎なのに家の戸締りが過剰に気になるようになり、家族に強要し始めた。
家族に強要というのは治療上禁忌なのだが……(人間関係までこじれるので)。涙が出るほど気になる。

仮にこれが解決したとしても、恐らくまた別の不安が発生する。
火事になるかもしれないから揚げ物はするなだとか、テレビを見ていないときはコンセントを抜けだとか言い出す可能性がある。「鍵」という多くの人が一度は不安になったことがあるであろう物事に留めておいた方が異常者レベルが低く見えるので、しばらくはど根性で無理に治すのはやめておこうと思う。

本当に時間が無駄になる病気である。
例えば鬱であっても休養に時間を要するが、あえて言うとすれば、それは回復のための時間である。すんなり治るかどうかは別ですが。
それに対して強迫は、確認行為をすればするほど悪化すると言われているので、貴重な時間を削りながら病気を悪化させているということになる。

どうにか確認行為をせずにいられても、頭の中は常に不安要素で充満している。
もしもこの病気でなかったら、私はロングスリーパーではなかったのかもしれない。そのくらい燃費が悪いと感じる。

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