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映画めも。

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2023年9月の記事一覧

【映画】アステロイド・シティ Asteroid City/ウェス・アンダーソン

【映画】アステロイド・シティ Asteroid City/ウェス・アンダーソン

タイトル:アステロイド・シティ Asteroid City 2023年
監督:ウェス・アンダーソン

相変わらずの徹底した構図とカラーリング、書き割りのような景色がいかにもウェスな感じ。なのだけど一本調子で物語としてはすごく単調だった近作に比べると、入れ子構造の本作は中々に複雑。「アステロイド・シティ」という舞台を作るまでの過程がモノクロームで描かれながら、それと並行して「アステロイド・シティ」の

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【映画】魂を救え La sentinelle/アルノー・デプレシャン

【映画】魂を救え La sentinelle/アルノー・デプレシャン

タイトル:魂を救え La sentinelle 1992年
監督:アルノー・デプレシャン

画一的なジャンル映画に陥りまいとする作風というか気概を感じられたが、後から長編デビュー作と知り驚く。物語の大枠の主題としては、医学生が事件に巻き込まれるサスペンススリラーの体を取りながら、後半1時間で物語が大きく様変わりする所は、物語を何か見落としたのか?と錯覚するほどにいきなり突き放される。終幕に向けて徐

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【映画】フリークオルランド・タブロイド紙が映したドリアン・グレイ/ウルリケ・オッティンガー

【映画】フリークオルランド・タブロイド紙が映したドリアン・グレイ/ウルリケ・オッティンガー

タイトル:フリークオルランド 1981年
監督:ウルリケ・オッティンガー

五つのエピソードが脈絡なく紡がれ、過去の話なのか、近未来なのか、それとも神話の世界なのかがイマイチ判別出来ない。なのにのっけから、だだっ広い荒野の中にぽつんとある人の木と、Freak Cityと書かれたネオンのアーチが輝く異様な世界に惹きつけられる。ここにある映像が醸し出す面白さは、理屈で語りにくい。エピソードごとにキャラ

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【映画】バーナデット ママは行方不明 Where’d you go Bernadette/リチャード・リンクレーター

【映画】バーナデット ママは行方不明 Where’d you go Bernadette/リチャード・リンクレーター

タイトル:バーナデット ママは行方不明 Where’d you go Bernadette 2019年
監督:リチャード・リンクレーター

ビフォアシリーズのリチャード・リンクレーターによる家族ドラマなのだけど、とにかく異才を放つケイト・ブランシェットの演技の凄さが際立つ。彼女はトッド・フィールドの「Tar ター」の時と同じ様に、破天荒な天才の物語がぴったりハマる。しかも自信過剰で男性勝りな「Ta

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【映画】ソドムの市 Salò o le 120 giornate di Sodoma/ピエル・パオロ・パゾリーニ

【映画】ソドムの市 Salò o le 120 giornate di Sodoma/ピエル・パオロ・パゾリーニ

タイトル:ソドムの市 Salò o le 120 giornate di Sodoma 1976年
監督:ピエル・パオロ・パゾリーニ

胸糞というかスカトロジーを含むアンチモラルが、今観ても胸焼けや嗚咽を誘引するほど徹底して描かれる。表面をなぞれば露悪的で背徳な描写の連続で、山盛りの排泄物のダイレクトな表現の捻りのなさに、一体何を考えてるんだ?と眉をひそめる。性的な描写も、処女姦通からアナルセック

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【映画】ママと娼婦 La maman et la putain/ジャン・ユスターシュ

【映画】ママと娼婦 La maman et la putain/ジャン・ユスターシュ

タイトル:ママと娼婦 La maman et la putain 1973年
監督:ジャン・ユスターシュ

ここ一年あらゆる時代のジャン=ピエール・レオーを観てきた。トリュフォーの少年アントワーヌ時代からゴダール作品を含めた青年時代、カウリスマキのコンタクトキラーでの中年時代。ヌーヴェルヴァーグを体現しながら、作品の中で監督のペルソナをそのまま担わされる事も多いように思える。「ママと娼婦」の冒頭か

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