この芥川賞受賞作品は、全く知らなかった。
Kindle Unlimited 対象、Kindle換算 93頁。
先月記事にした『コンビニ人間』村田沙耶香(著)よりも短い。
芥川賞は短編・中編作品を対象としており長さに明確な規定があるわけではないが、概ね原稿用紙100枚から200枚程度の作品が候補に選ばれているらしい。
著者のインタビュー(2023年8月)は、こちら。
感想
主人公健斗が語る一人称の物語。
祖父の介護がテーマとなり、家族仲は良くない。
著者が狙って書いたのか、主人公、その母、介護を受けている祖父、三人とも好感度の低いどちらかと言えば、近くにいたら付き合いたくない人物として描かれている。
母は口を開けば祖父(自分の父)を叱ってばかり。
祖父は家族の前では弱々しくしているが、一人になると台所で冷凍ピザにトッピングをして食したり、デイケア先では女性介護士にハラスメントもどきの行為を行う。
主人公の行動は自己中心的で、再就職試験に落ち続けるが、ある会社に運良く受かると母と祖父が居る実家をサッサとあとにするシーンで物語は終わる。
この著者が本作で芥川賞を取ったあとの著書を読んでいないので何とも言えないが、この作品を読む限り「芥川賞って、今後を期待する新人賞」なのだなと思う。
文章を読んで特に惹かれるところはなく、出版する際に校正が入っているはずだが「ここは読点が無いと、ひらがなが続いて読みにくいのだが」と感じる所が数箇所あった。
「老人介護の在り方を考えさせる小説」と捉えれば、話題性のある小説だったのかも知れない。
以下の引用箇所が著者の主張であれば、ユニークな小説だと思う。
MOH