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お手頃価格の国ニッポン/旅行者の「質」も低下… オーバーツーリズムで“犠牲”となる「日本人のマナー」
クーリエ・ジャポンのメールニュースから。
電車の中では海外ツーリストのマナーの悪さを経験していないが、朝の東京駅構内で通勤者の障壁となっているツーリストの団体には度々遭遇する。
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両側を改修中
人通りが多い時は結構邪魔になる
以下のとおり、引用したい。
円の下落を受けて、旅行するのに「安い国」となってしまった日本には、大量の観光客が押し寄せている。そのせいで、日本人が重視する公共の場でのマナーが脅かされていると、スペイン紙が報じている。
Text by Gonzalo Robledo
エル・パイス(スペイン)
公共の場における極端なまでの礼儀正しさとマナーの良さが、日本のオーバーツーリズムの“被害者”となっている。日本の通貨が下落するにつれ、文化よりも買い物に関心がある観光客のあいだで、日本の評判が高まっているのだ。
「最近は、文化に関する予備知識は皆無で、行き当たりばったりにやってくるお客が増えています」とエンリケ・メディナは嘆く。マドリード出身の写真家の彼は、観光ガイドとして、とくにスペインとラテンアメリカからのグループを連れて日本を巡っている。
「少し前までは、外国人観光客はいつも『予習ができた』状態で日本にきていました」と彼は続け、4月に満開の桜を見るために訪れた観光客らを例に挙げる。桜の開花は毎年お待ちかねの行事で、列島全土の公園と通りが淡いピンク色で覆われる。
だが現在のスローガンは、「寺は少なく買い物を多く。寿司は少なくファストフードを多く」だとメディナは付け加え、今年ユーロとドルに対して史上最低の安値を記録した円の下落に言及する。
やはり円安の影響は大きい。
観光ガイドたちは、公益を重んじる日本の規範を客たちに念入りに説明している。この国はかつて200年以上、鎖国政策をとっていたのだ。日常生活も、西洋の基準に照らせば厳密すぎる、込み入った行儀作法で溢れている。
ガイドたちが東京の地下鉄における乗客たちのふるまいを説明すると、観光客は感嘆して耳を傾ける。乗客は静かに整列して電車を待つ。乗り降りは迅速に。ほんのわずかな出発の遅れも避けるためだ。ラッシュアワー以外の時間帯には、車両はしばしば落ち着ける空間となり、人々は「携帯電話で通話しない」というルールをしっかりと守る。
だが、いざ彼らが電車に乗ろうとすると、観光客が車両に乗り込み、その大声と陽気な身ぶりで静寂な環境をぶち壊してしまう。多くの日本人の乗客は気分を害するが、 衝突を避けるように躾けられているので、車両を移ることを選ぶ。
中心部の路線ではこうした現象が繰り返されており、地下鉄運営会社はイラスト入りのポスターを使って教育キャンペーンを実施している。
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座席に座った3匹のサルが大声で話している。サルたちの隣ではキツネが本を読もうとしており、シロクマはおびえて泣く子グマをなぐさめ、リスは腹を立てて頭を抱えている。
騒ぐ動物が「モンキー」なのを深読みすると、シニカルに感じる。
かつて「イエローモンキー」と呼ばれた国民が、海外から来たモンキーを迷惑がっている。
英語、中国語、韓国語の表記になっている。
コンサルティング会社「EY Japan」によるアンケートは、オーバーツーリズムの3大悪影響が「マナーの悪さ」「公共交通機関の混雑」そして「観光地を擁する地域の過密」であると明らかにした。
小ぢんまりした規模であることと、数多の魅力的な伝統ゆえに、京都はオーバーツーリズムの勢いに最も悩まされている都市の一つである。祇園の歴史ある通りでは、カメラや携帯電話を構えた観光客の群れが、「芸者」とその見習いの「舞妓」にしつこくつきまとい、地元メディアが「芸者パパラッチ」という呼び名を作ったほどだ。地元協議会は、祇園のいくつかの通りへの進入を禁じ、「撮影禁止」と、違反した場合の罰金60ユーロ(1万円)について告知する高札を設置した。
だが、最も話題となったオーバーツーリズム対策は、2024年5月に東京西方の富士河口湖町がおこなった、富士山の写真撮影を防ぐための巨大な黒幕の設置だった。設置の目的は、この標高3776メートルの象徴的な火山を戴せているように見える「ローソン」の写真を撮ろうと、来訪者が人家の屋根に登ったり交通を妨げたりするのを思いとどまらせることだった。
ローソン近くの黒幕は8月に取り外されたが話題になった。
日本の英字紙「ジャパン・タイムズ」によれば、日本は2023年に世界から2500万人の旅行者を迎えた。割合は国民1人当たり観光客0.2人で、それぞれ1人当たり1.5人と1.8人の観光客を受け入れているフランスやスペインに比べれば低い。
日本は2020年代末までに6000万人の訪日外国人受け入れを望んでおり、それによって来訪者は国民一人当たりおよそ0.5人にまで上昇することになるが、同紙によると、この数字はヨーロッパ水準をまだ下回る。
京都でタクシー運転手として働く60代のナカニシ・テルオは、オーバーツーリズムが被害を及ぼしているのは中心部のみであり、街の経済は活性化されていると話す。
「たくさんのホテルや民宿ができています。車での通行がとても難しい通りにまでね」
彼は、偉大な文化遺産を理由に第二次世界大戦で北米の爆撃対象から除外された、この「1000年の都」の市街図をふまえてそう語る。ナカニシは、京都のタクシー会社が、人手不足に伴い最高64歳の人にまで欠員募集していることに感謝している。人口の高齢化に伴い、人材不足は深刻さを増しているのだ。
表面化しつつあるもう一つの成果は、徐々に外国人移民が受け入れられているということだ。京都やそのほかの日本の都市の多くのホテルと商店が、飲食・清掃サービスのために、フィリピンやベトナム人スタッフに依存しているのだ。
オーバーツーリズムを歓迎している人たちは、日本全体からみると僅かな数に感じられる。
政府が声高に発表する経済効果はいかほどのものなのか?
国によっては、その国の出身者がツーリストをマネジメントしているので、日本人も含め他国の人々がそれに関われる範囲は少ない。
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治安維持のために、自治体等が出来ることは僅か。
最近のニュースを見ていると、このような対策が広がっていくのかも知れない。
これまでは日本で教育を受けてきた人々が大多数で、この国に暮らす多くの人たちには常識だったことが、21世紀になってからも世界からは珍しがられる。
鎖国でもしない限り、日本に来る外国人は増え続けるはず。
日本の社会を適切な状態に保つためには、法的な規制を広げるしかないのかも知れない。
MOH