私は絵描きで物書きで歌を歌う。 ある日少年と出会った。歌が上手くなれないと泣いていた。 私はある言葉を言った。 別の日少女と出会った。絵が上手く描けないと怒っていた。 私は少年と同じ言葉を呟いた。 また別の日、今度は私が文に自信が持てなくなった。 私は鏡の前に立ち同じ言葉を叫んだ。 絵も歌も文も芸術だ。芸術に下手も上手もあるもんか! 芸術にあるのは優劣ではなく感情だ。羨望。尊敬。畏怖。歓喜… 沢山ある。もし下手が存在すると言うなら何が上手のか。 整った写実的な絵?ダリの絵
わたしは犬である。名前は・・・今はもうない。 その昔、軍人として地元と幼馴染みと別れて新生活を手に入れた。そこで腕を買われて 秘密の部隊に入れられて、たくさん殺したよ。スゲーたくさん。狩りをおこなった。 そしていつしか、いや始めからだったかもしれない。犬になった。 犬になったとき、家族が死んだ。実家がなくなった。片腕を失った。職も失った。 負傷による病気除隊で野放しになったわたしは実家のあったはずの故郷に帰ってみた。 実家のあった焼けた土地と残骸を前に立ち尽くしていると、偶然
なんでそんなに澱んだ目をしていのでしょう。一体何を見てきたのですか? そう尋ねると、男は冷たく空回りした笑みを浮かべた。 「裏切りと破壊」 あまりにも自虐的に吐き捨てるように笑いながら言うもんだから実に不憫だった。 彼が見た世界を語らせたところであまりにも酷すぎて 嘘としか思えないことだろう。 だから深くは聞かないことにした。 しかし、悪化させない方法はわかったが治す手立ては見つかっていないのだ。
ある所にやけにモテる男がいました。その男は特別顔がいいわけでもなく、性格に至ってはもはや変な人でした。 彼は異世界転生をした人間でした。本来ならばハーレム無双が行われるのですが、神様の手違いで厄介な人間を厄介なところに送り込んでしまいました。 巨乳だらけの男のいない世界に巨乳恐怖症の男を連れ込んだのです。 魔王を殺すことを目標として旅に出ていた男ですが早速通り道の村が魔物に襲われています。魔物は普通のゴブリンで生物学上は男に分類されますが人類じゃないのでセーフです。男は迷わ
また失敗した。 いや、これは失敗じゃないな。始めから分かってたことだ。こんな僕が好かれるわけがないんだ。ほらね、やっぱり気がなかった。 あぁ、寂しい。どうしてたった二文字が言えないんだ。 夜「また告白できなかった?面白いくらい待つねー」 背後から聞きなれた声がする。 朝「…あぁ、夜か。でも分かってたことだ。だって僕は」 朝・夜「「魅力がない」」 朝「そういうことだよ。負け戦が出来ないんだ。1度死の恐怖を味わった人間が、2度、3度と味わおうとはしない。それを恐怖だと思ってるう