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されど、空の深さを知る。

ふと立ち寄った本屋さんの隅に
気になる本を見つけた。

"この一瞬"を切り取る。
自分が何に心が動いたか客観視する。
その時の気持ちに向き合う。

…という内容。

撮るマインドフルネスにおいては
構図だとか、バランスだとか
そういうことは大事じゃない。

焦点を合わせた一瞬の心の動きが
写真という形に残る。

完全に同じ写真は
この瞬間、私にしか撮れない。
「写真×マインドフルネス」という発想。
心惹かれて本を家にお迎えした。

本を熟読して、実践してみる。

気になったもの。
すきなもの。
だいすきなひと。

心が動いた時、シャッターを切ってみる。
現像してスクラップしてみる。
タイトルとその時の気持ちを簡単に添えて。

ブレブレだったり、ちょっと曲がっていたり。
決して上質ではないけれど
不格好であわてんぼうな私らしい写真たち。

ぶれていることで、その時急いで撮ったことを思い出す。
曲がっていることで、シャッターを押す手に
力が入ってしまったことを思い出す。

一瞬を写真に収めたくて必死な気持ちがこもっている。
次はもっとこの時間をゆっくり味わおう、
大切にシャッターを切ってみよう。

そう、思えた。

…何度か写真や自分自身と向き合い
ゆっくり大切にシャッターを切れるようになった頃、
愛おしい時間が増えたような気がした。

カーテンの隙間から漏れる朝日。
だいすきな人の背中。
寒い日のあたたかい飲み物からでる湯気。

小さなことに幸せを感じる方ではあったけれど
前より、感じられるようになった。

今、ここにいる。

この一瞬を大切にすることで、
毎日いろんな出来事が起こるけれど
心が穏やかでいられる気がする。
自分のリズムを取り戻せる気もする。

井の中の蛙大海を知らず。されど空の深さを知る。

私は、広い世界のことを知らない。多くの知識もない。
けれど、少なくとも自分の想いは知っていたいと思う。
忙しさにかまけて、ないがしろにして来てしまったけれど
想いに寄り添って生きたいと思う。

写真を撮ることで、またひとつ
大切な時間を感じられるようになった気がした。
…写真の技術は上達していないのだけれど。

あまりに綺麗だった夕焼け。

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