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親切なクムジャさん


『親切なクムジャさん』2005年:韓国:114分
監督:パク・チャヌク
ジャンル:ドラマ

一昨日見た『cloud』が良くも悪くもスカッとしきれなかったので「スカッとする復讐劇が見たい!」と思い、過去に視聴したが再度視聴を決めた一本。

あらすじ

子供の誘拐・殺害の罪で逮捕、13年服役していたクムジャが主人公。
大罪を犯したとされる彼女だったが、その罪は実は冤罪だった。
クムジャ自身の子供を盾にされ、自身の子供の命を救うために真犯人の濡れ衣を一身に背負ったのだった。
服役中、彼女はいつもにこやかに困っていたりいじめられている服役仲間を助けていた模範囚だったことから刑務所では「親切なクムジャさん」と呼ばれていた。
しかし、彼女はにこやかな笑顔の裏で自身の娘との暮らしを奪った真犯人への復讐を決意しているのだった。
出所後、服役仲間や当時の捜査関係者の力を借りて真犯人を突き止めることに成功するが、犠牲者はクムジャが手にかけた子供だけではなく何人もいることがわかる。
クムジャは犠牲になった子供たちの遺族たちを集め、クムジャと遺族たちによる復讐が幕を開けるのだった・・・。

感想

本作はパク・チャヌク監督による「復讐三部作」の最終作である。1作目は「復讐者に憐れみを」次作が「オールド・ボーイ」だ。しかし、三部作に特に話の繋がりはないのでそれぞれ好きに見て問題ない。

本作は勧善懲悪モノを見た時のスカッとする気持ちを求めていると消化不足になるかもしれない。
中盤まではアーティスティックな描写も挟みつつ物語が進行するので、好き嫌いが分かれるかもしれないが、気づくと物語に引き込まれている。
主演:イ・ヨンエの美貌もさることながら、ファッションも美しく、注目するべきポイントだ。

肝心の復讐劇はというと、とにかく胸糞だ。
なんせ、主人公は自身の子供を守るためとはいえ他人の子供を手にかけているわけだから、その時点で手放しにスカッとできるわけがない。
自身の子供のためならどこまで許されるのか、罪を犯していいのか、という理性子供のためなら何でもする。殺人も厭わない。という本能。どちらが正しいのか?という疑問を投げかけているというよりかは「クムジャはこう決意し、選択した。それが幸福かどうかはまた別の話だ。」と囁かれているかのような気持ちになった。
そして、この映画の本質はそうなのだと感じた。
「復讐をするかしないか」ではなく、あくまでも第三者の観客として俯瞰しながら視聴するべきだ。
でないと、こんな哀しい物語の登場人物に感情移入しすぎてしまったらやりきれなくなってしまうだろう。

哀しい復讐劇を視聴して、アンニュイな気分に浸りたい人は是非見てみよう。


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