実写版 ボーダーランズ
『ボーダーランズ』2024年:アメリカ:101分
監督:イーライ・ロス
ジャンル:SFアクションコメディ
テレビCMでもここ数日、Prime videoにて配信開始の広告を打ち出している。僕は元々この映画の元になったゲームシリーズが好きで新作が出るたびにプレイしていた。
本作の公開当初、本国での散々な評判をなんとなく聞いていたので、怖いもの見たさで視聴を決めた。
あらすじ
悪名高い賞金稼ぎリリスが主人公。
億万長者アトラスの娘ティナが行方不明に。ティナを見つけ出す依頼を渋々受けたリリスは故郷の惑星パンドラへ降り立つ。
ティナはあっさり見つけ出すことができるが、傭兵、うるさいロボット、科学者、イかれたマッチョと、一癖も二癖もある連中もついてくる。
彼らは、エイリアンや危険な盗賊と戦いながらティナを保護しなければならない。
そしていつしか、彼らはお互いのために戦うこととなり・・・。
あらすじはこんな感じ。
監督は「ホステル」「グリーンインフェルノ」グロ界の巨匠、イーライ・ロス。
主人公のリリスはオスカー女優ケイト・ブランシェット。
科学者タニス役は「絶叫クイーン」ジェイミー・リー・カーティス。
ロボのクラップトラップの声優はコメディ映画のスター、ジャックブラック。
豪華すぎる布陣でのゲーム実写化映画だ。
キャラクターのビジュアルはまずまず。原作でも主要人物のリリスは少し更けているようにも見えるが許容範囲内だ。
クラップトラップの出来は見事だし、原作ファンとしては違和感は感じなかった。
しかし、評価が賛否分かれたのも納得だ。
まず前提として原作のゲームはFPS(一人称視点のシューティング)で敵を倒しながら進むゲームなのだが、敵を倒したり様々な手段で銃を手に入れるのが醍醐味の作品だ。
銃といっても、現実世界にあるような弾を撃つものはもちろん、銃身から電気を発射したり、マリオシリーズをパロディした「火の玉」を撃つものなどバラエティに富んだ銃を収集し、敵を爽快に倒すのがプレイヤーの目的なのだ。ゲーム内では1600万種類ともいわれる豊富すぎる種類の銃が登場する。
しかし、実写版映画では現実世界であるような「どこかで見たことあるような銃」しか登場しない。これでは、原作ファンは退屈だ。原作の醍醐味の部分を描いてくれないのだから。
そして、原作にはもうひとつ大きな醍醐味がある。
それが、キャラクターごとに設定された多彩でユニークなスキルだ。
原作では序盤に4体のうちのなかからキャラクターを選択し、そのキャラクターに自己投影してゲームをプレイする。
そのキャラクターごとにスキルが異なる。
あるキャラクターは分身や透明化を使用できるものや、ペットのエイリアンを使役して戦うキャラクター、自身の肉体を強化して近接戦を行うキャラクターまで非常に豊富だ。
しかし、映画本編では終盤以外、まったくと言っていいほどスキルや特殊能力の描写は存在しない。
ただ、銃を撃ったり「どこかで見たようなアクションシーン」だけを見せられる。
ストーリーに関しては、有って無いようなものだ。
それもそうだ。原作のゲームは、数十時間から数百時間かけてクリアするもので、現在ナンバリングだけで3作、スピンオフ作品も数本リリースされている。それを101分でまとめるのは不可能だ。
一応、原作に沿ったストーリーっぽくなってはいたが、そもそもストーリーを楽しみたくて原作の「ボーダーランズシリーズ」をプレイする人は少ないだろう。
何故って、原作ファンはユニークなスキルと豊富な銃を使って敵をなぎ倒すのが目的なのだから。
ただ、悪い点ばかりではなかった。
それが吹き替えの声優だ。昨今、映画の日本語吹き替えには賛否あるが、本作は評価できる。
何故なら、ゲーム本編とキャラクターの声優が一緒なのだ。
そのおかげで原作ファンである自分はすんなり違和感なく視聴できた。
その点だけは評価できる作品だと感じる。
ただ、原作ファンは視聴後に口直し的にゲーム版ボーダーランズシリーズをプレイしたくなるので、そこは覚悟しておこう。