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「うちの子は字が書けない」ほか 発達性ディスレクシア(発達性読み書き障害)の本 

発達障害のうち、ASD(自閉症スペクトラム障害)とADHD(注意欠陥多動性障害)についてはあれこれと書籍化されるなど広まってきたけれど、
しかしLD(学習障害)、SLD(限局性学習障害) についてはあまり話題にあがらない。

他の障害と合併しているために影に隠れてしまうためか、
「やる気がない」「勉強ができない」と片付けられてしまうためなのか。
おそらくそのどちらともなのでしょう。

前回は学習障害LDについて、
限局性学習障害SLD、学習困難児、LearningDisabilityなど言葉の整理をしました

大事なのはそれに対してどうするかです。
そうなんです。そうなんですが、、、


学習障害かも。でどうするの

率直なところ学習障害については、
どうしたらよいのか、という対応の手前、
どのように正確に診断するするか、というところもまだ定まっていない、
というのが実状だと思います。

でも、治せなくても、特効薬はなくとも、対策はできます。
そして対策するために必要なのは、まず自分にそういった特性があると知ること。己を知ることです。

これはASDの方にも、ADHDの方にも、障害レベルでなく特性でお困りの水準の方にも、私は必ずお伝えすることです。
自分の特性、強みと弱み、そして相手や課題について知ることで、
どう乗り越えるか、はたまたかわして回り道するか、
それを考え、工夫することができます。

定まった診断基準や手法がなくても、
患者さんや相談者さん、
そして自分や家族がそれに該当しそうか、ちがうのか。
そして先人の経験に学ぶこと。
そうあがき続けるしかありません。

発達性ディスレクシアの表現者


学習障害について、先人をさがすと、
俳優トム・クルーズが発達性ディスレクシアであることは割と有名です。
https://www.asahi.com/articles/ASQ8R5372Q87UTFL012.html

スティーブン・スピルバーグ監督も発達性ディスレクシアであるとか。
他にも発達性ディスレクシアの著名人はいますが、
ハリウッド映画という映像表現、演技の世界での成功者二人が、
発達性ディスレクシアであるとされていることは、
発達障害の強みと弱みの関係は表裏一体のものだ、
ということを表しているように思う。


発達性ディスレクシア(発達性読み書き障害)の本


限局性学習障害の中の、
発達性ディスレクシア(発達性読み書き障害)については、
おすすめできる本がある。

うちの子は字が書けない (発達性読み書き障害の息子がいます)  – 2017/7/6
千葉リョウコ (著), 宇野彰 (著)
https://amzn.asia/d/i3MuYvE

「うちの子は字が書けないかも」と思ったら – 2020/3/3
宇野 彰 (著), 千葉 リョウコ (著)
https://amzn.asia/d/bG9LNiF

漫画家千葉リョウコさんが発達性ディスレクシアの二人のお子さんのことを書いた体験談。
その体験談に宇野彰さんの知識と臨床経験が奥行を加えている。


発達性ディスレクシア特有のものではない症状

宇野さんがホンモノであると思うのは、
LD・Dyslexiaセンターリーフレットでも強調されている、
以下のメッセージ
ーーーーー
誤解されることの多い症状
以下の症状は発達性ディスレクシア特有の症状ではありません。
・字の形が整わない
・不器用だったり、
・運動が苦手だったりする
・不注意である
・整理整頓が苦手である
・時間の管理が苦手である
・場や空気が読めない
・こだわる傾向がある
ただし、他の発達障害を併せもつことがあります。
ーーーーー
https://square.umin.ac.jp/LDDX/leaflet_2021.pdf

可能性がある症状をただ挙げるのはどちらかと言えば容易い。
違うものを違うと言えるのはその裏付けを持っていなくてはならず、難しい。

嫌でないこと、続けられることを探す


二冊を通じてのメッセージは、
「どうにかサバイバルしていく」であるように思う。

「好きなこと、得意なことを探しつつも、
嫌でないこと、これなら続けられることを探していく」
という言葉は、
発達障害に限らず、自分の未来を探すひと全員に伝えたくなる。


うちの子は字が書けない、かも
と思った方、
限局性学習障害の知識を探す方にお勧めの本でした。

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