■4 スキンヘッドの男(1)
「応募します」
私はそう言って、背の高いスキンヘッドの男にもう1件の求人案件に関するエントリーシートを渡した。男は「あぁ…」と言って受け取る。事前にその書類を提出することは予告しておいた。その男は私の上司、ひょろっとしていて、飄々とした男だ。
「例のところ、面接の連絡がきました」そう私が報告すると、スキンヘッドの男は「凄いじゃん」と言って驚いている。A社の1次選考を通過すると思っていなかったらしい。「あっちの方が給与高くていいじゃん」と勧めるように言った。
少し突き放されたように感じて、なんだ、私はここでは不要なのか、と思った。不貞腐れて「こちらの方が本命なんですけど」と少し苛立ってみせた。
「で、いつなの?面接は」
「金曜日の午前中です」
そこまで伝えると、私は足早にその場を立ち去った。
去年から「給与を上げたいんだ」と上司であるスキンヘッドの男には相談していた。今のセクションでは年収は変わらない。残業もできない。私はあくまでもパート扱い。今の給与は、時給換算でもかなり高く、なんとか生活できているので、今の生活を維持すれば、今の仕事のままで良い。でも、どうしても年収を上げたい。子どもの教育費を捻出したいのだ。
(フィクション入ってきました)
(でも、ただの日記です)
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