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神の遣いは静かに暮らしたい第1話

プロローグ

 魔法が使える人間と、使えない人間が存在する世界に、その者は産まれた。
 そしてその者は、魔法が使える側の人間だった。魔法が使える女は魔女と呼ばれ、男は魔法使いと呼ばれた。
 これはとある魔女の物語。


1話 神の遣い

 どうして私は神の遣いなんかになってしまったのだろう。そんなたいそうな人間じゃないのに。
 黒い髪と青の瞳。この2つの特徴はこの国で長らく信仰されている神様の髪の色と目の色らしい。聖書に書いてあった。
 毎朝5時に起きて、学校の敷地内にある教会の礼拝堂に行く。そしてそこで神への祈りを捧げる。これが1日の始まり。
 「それではレアさん、最後に一言、お願いします。」
 最後には何か一言言わなければならない。正直ちょっと、というかだいぶめんどくさい。
 「はい。それでは今日も1日、神のご加護のあらんことを。」
 横並びの長椅子たちの間にあるカーペットの上をゆっくり歩く。両開きの扉の前で立ち止まり、片側だけ扉を開いて一言、
 「まだ出席確認の時間まで時間がありますので、寮に戻らせて頂きます。皆さんもお好きに過ごしてくださいね。」
 優しい聖女様のような微笑みを浮かべて私は言った。
 扉を開いたときにできた隙間から出て後ろを振り返り、一礼する。礼拝堂を出たら一礼するのがきまりらしい。最初はめんどくさかったけど、今ではすっかり癖になっていた。
 3、4秒くらいで一礼を済ませたあと、私はまっすぐに教会を出た。そのまま教会を右手に壁をなぞるように歩いて行く。
 しばらく歩いて、寮の入り口に着いた。扉を開けて中に入る。中は外よりあったかかった。そりゃあ朝イチの外の空気より室内の空気のほうがあったかいよなぁ。
 入り口から見える階段をマイペースに登っていると、3階についた。階段からフロアに出た、すぐ右にあるところに私の部屋がある。私は迷わず部屋に入った。鍵をかけるのがめんどうだったので、もちろん開けっ放しである。
 「ただいま〜」
 と玄関にあるバスケットにおさまっている黒と白の物体に向かって声をかける私。
 「ミャァ〜ォ」
 少し眠たそうな声で反応してくれた白猫、ミルクだ。ちなみに、まだぐっすり寝ている黒猫はココアだ。
 「ただいま。ミルク、おはよう。ココアは相変わらずぐっすりだね。」
 そう言いながらあごの下をなでてやると、少し気持ちよさそうな顔をした。かわいい。
 靴を脱ぎ、スリッパを履いてまっすぐ進んだ。つきあたりを右に曲がると、ミルクもついて来た。左手にあるドアを開けて、部屋の中に入った。そして来ていた制服を脱いでパジャマであるネグリジェを着た。正直パジャマワンピースとネグリジェの差がわからないので誰か教えて欲しい。そのままベッドの上にダイブして布団の中に潜り込んだ。ふわふわベッドで幸せである。するとミルクもベッドに登ってきたようで、ベッドが少しへこんだ。
 「いらっしゃいませミルク様。ところで悪いんですけど8時に起こしていただけますでしょうか。現在6時くらいでありますので睡眠時間が2時間とれるのでございます。」
 敬語(?)で話されたのがお気に召したのか機嫌のいい顔をしている。なんなら八分音符も飛んでいるように見えたのは私の気のせいだろうか。
 「ミャ〜オ」
 よろしい、起こして差し上げよう。とのことなので、喜んで寝させてもらおう。
 「ありがたき幸せ。それではおやすみなさい。」
 そう言って私は眠りについたのだった。


 話末あとがき
 『神の遣いは静かに暮らしたい』1話 神の遣い です!まだまだこのあとの展開についてや結末がどうなるかは全くもって決めておりませんので何卒まったり次回を楽しみにしていただけると嬉しいです。
 かすかに情報をお出ししますと、主人公であるレアちゃんのお友達が出てくるかもわからんなので楽しみにしていただけたらな、と思っております!(もちろんミルクとココアはお友達です。)
 それでは最後に、ここまで読んで頂き、ありがとうございました。また次の機会にお会いしましょう!

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