進捗の秋
あっという間に11月である。前回記事の更新は9月であったから、更新頻度をまるまる1ヶ月以上あけてしまったということになる。
noteの初投稿をした去年の12月から地味に1ヶ月に1回以上の頻度で投稿を続けていたので、この連続記録が絶えてしまったのは若干悔しいが、まあ仕方がない。
いかんせん、最近やたらと忙しいのである。
9月末からやっと始まった授業は、数だけで見れば1週間に5コマ、と一見少なそうに思えるものの、1つの授業の時間枠が4時間から6時間ぐらいなので、しっかりと生活時間を占めてくる。
ちなみに、1学期目だからなのかもしくは実学系の学部だからなのか、学生に授業選択の余地はなく、気がつけば勝手にクラス分けをされて授業が登録されているスタイルであった。
毎日顔を合わせるメンバーが決まっているおかげで、2ヶ月目にして早くもクラスメイトとしての連帯感が生まれてきている。
肝心の学生生活はというと、これが想像していた以上にめちゃくちゃ楽しい。
IllustratorやInDesignといった作業に必要なソフトウェアの使い方から、デザインに関する理論まで、日々新しいことを実践しながら学べる環境は、「昨日できなかったことが今日できるようになる」成功体験を積み重ねることができるためか、毎日充実している。
授業に行くのも課題に取り組むのも今のところあまり辛くない。月曜日が楽しみですらある。
こんなことは、正直言って今までの学生生活ではあり得なかった。
社会人経験を経て、学校という場所のありがたさが今まで以上に身に染みているような気がする。
もちろん、まだまだ初心者レベルのところで躓くことがほとんどだし、仕上がりに納得できず「もうダメだ…そもそも自分にはクリエイティブな仕事が向いてないんだ…」と部屋の隅に体操座りして緑のネバネバした液体を出してしまう(注:誇張表現です)こともままある。
それでも、どうにかもがいて突破口が見えた時、「自分が前よりも少しだけ成長できた」と思える喜びは、産みの苦しみを大きく超えてくる。少なくとも今は、そう思えている。
そんなこんなで楽しく学生生活を送る傍ら、振り返ってみると、10月は「生活を立てる」という点で大きく前進した月でもあった。
まずは何より、滞在許可が降りたこと。
詳細については他の情報提供系の記事でも語られているため割愛するが、ドイツの、特にベルリンの移民局は、キャパオーバーなんて生ぬるい言葉では表現しきれないレベルで需要と供給が乖離しており、ビザ申請のためのアポイントメントがプラチナチケット化しているのである。
元々はオンラインで時間枠を予約するシステムだったため、タスマニアにいた時からずっと予約サイトをこまめに確認していたのだが、これが信じられないぐらいに繋がらず、アポの空き枠が全くないのである。
そのうえ、今年の8月になってから、このオンラインアポ取得システムは廃止となり、メールで連絡して返信を待つ方式(ただし数ヶ月待っても返信が来るかはわからない)となった。
結論から言うと、我々は仲介業者に課金することでビザ申請のためのアポを取得してもらうことに成功した。
私がノルウェー留学中に出会った友人がたまたま今ベルリンに住んでいるのだが、彼女が以前利用した業者を紹介してもらったのである。
彼らを通してアポの取得依頼を行ったところトントン拍子で予約が決まり、おかげで無事年内に学生ビザを取得することができた。
結局お金なのかよ…としょっぱい気持ちにならないこともないが、まあこれが現実である。
そしてもう一つは、バイトが見つかったこと。
こちらに関しては、オーストラリアでのことを思うと拍子抜けするぐらいスムーズであった。
ドイツ語がままならなくても雇ってもらえる気がする、という浅すぎる理由で、日本人向けの掲示板で求人を出している日系レストランに応募先を絞ったところ、狙い通り私も夫も応募1件目の店舗で採用が決まった。
というわけで、今現在、夫は日本を愛するトルコ人経営の居酒屋で、私は日本人が経営するラーメン屋でアルバイトをしている。
時間数はまだまだ多くないが、収入が全くゼロではないということがもたらす心の安寧は計り知れない。
労働に関しては、ドイツ語力とデザインスキルの向上に応じて、大学での学びに近いインターンや学生アルバイトのポジションを見つけるというのが次の目標である。
目先の時間数よりもその先のキャリアのことを考えて行動しようとしているというのも、自分の中でのタスマニアでの出稼ぎ労働期間との違いと言えるのかもしれない。とにかくこれに関しても、前進あるのみである。
ベルリンに着いた時には青々としていた街路樹もすっかり黄色くなって、街の景色はもうすっかり秋である。
たくさんの進捗を生んだベルリン生活1年目の秋、自分たちを多少は労わりつつ、長い冬が来る前のこの美しい季節を楽しむことも忘れないようにしたい。