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【ガチ解説】飛ぶ鳥を落とすBiSH。なぜ彼女たちが口コミで広がるのか

2019年、BiSHをテレビで見ることが激増し、有名なフェスにも名前を連ねるようになりました。私がBiSHを知ったのは、4年前。高校の友達が教えてくれて、ライブで「OTNK」と連呼するんだよ、と教えてもらったのが最初でした(やべぇところに行ってると思ってたけど、教えてくれてありがとう!)。

以来、私もライブへ行くように・・・!

ちょっと話は変わりますが、2019年最後に澤山さん(@diceK_sawayama)にオススメしていただいた玉樹真一郎著「ついやってしまう体験のつくりかた」を購入。

「人はなぜつい誰かに言いたくなってしまうのか」を解説した第3章を読み進めてみると、

その仕組みが「まさにBiSHそのものじゃん・・・!」と驚きました。

そこで今回は、第3章の物語のデザインにのっとってBiSHが口コミで広まる理由を私なりに考察してみます。

BiSHは確かに楽曲もライブパフォーマンスも高いのですが、それだけではなく彼女たちを応援することでファンは様々な物語を目撃し、体験しながら進んできました。

まずはこれまでのBiSHの物語(ストーリー)の中ではほんの一部に過ぎませんが、いくつか"体験(エピソード)"をいくつかご紹介します。

発表はいつも突然に

1つ目のエピソードはアメトーーク!のなかでも紹介された「NON TiE-UP」の話。「Life is beautiful / HiDE the BLUE」の店着日に、無告知で(ゲリラ的に)シングル「NON TiE-UP」が発売されました。

ファンが「BiSHも売れて売れ線の曲しか出さなくなったなぁーーーー」と感じていたときに、タイアップ曲を収録したCDの横に無告知で「NON TiE-UP」と書かれたCD、さらに歌詞は”おっぱい舐めてろ ちんこシコってろ”と過激……

新規ファンの参戦が多かった幕張メッセのライブでも、アンコールのラストはこの曲。それはある意味、「OTNK」が1stシングルである彼女たちの「クソアイドル」ぶりをまた見ることができ、BiSHらしさを残したまま次のステージへと進む意思の表れのようにも見えました。

こういったゲリラはWACK(BiSHの事務所)のお家芸。今までもゲリラライブやゲリラCDなどを成功させています。

ゲリラライブやお知らせの前にはTwitterの公式アカウントが「本日○時にお知らせがあるからよろ」と投稿。

(この投稿はアメトーーク!「BiSHドハマり芸人」放送決定の前に投稿されたツイート)

ファンはドキドキとお知らせを待ち、その間、期待と不安が入り混じりながら、様々な「予想」をします。

いつも、本当にドキドキさせられる・・・!

さて、続いてのエピソードへ行ってみましょう(もっと鳥肌モンです)。

エモさの原点でもある、BiSの存在。

BiSHが結成されたのは2015年。その1年前に解散したBiSをもう一度やりたい、とプロデューサーの渡辺淳之介がつくったグループがBiSHです。
彼女たちのファーストアルバムにはBiSを彷彿とさせる楽曲も収録されており、なかでも「Primitive」はBiSの名曲「Primal.」をなぞった曲です。振り付けが同じ箇所も随所にあり、今ではライブでもなかなか聞くことができないレア曲です。

BiS/「Primal.」

繰り返す思い出は 忘れられない 傷残してんだ
揺れながら見た夢は 答えのない明日問いかけてきた
今度は何をほら 食べようか?

BiSH/「Primitive」

繰り返す思い出に僕は 何色で染まっていくの? 
魅力的higher oh 幾千の星
見なかったふりしてすすんでも 透かし絵の先の世界
掴めるなら 考えないで 信じてますか?


もうひとつご紹介したい楽曲が「Nothing」。BiS解散前のラストシングル「FiNAL DANCE」でモモコグミカンパニーが感じていたモヤモヤを歌詞にしたアンサーソングです。

BiS/「FiNAL DANCE」

これFiNAL FiNAL DANCE 孤独が運命さ
声を聞かせて 大きな声で 意味ないことを


BiSH/「Nothing.」

FiNAL DANCE放たれて 始まる景色の先を見ていたいだけ
悔しいな泣きじゃくった日々を超えて 見えた光だけ
いまは信じていたいな 孤独が運命なんて言葉虚しいな
そう思わない?

この箇所以外にも、「夢想家」というキーワードにも触れていたりと、ファンの心をぐっと引き寄せた一曲でした。

ちなみにBiSHにとって"横浜アリーナ"はひとつの重要な場所。

BiSが武道館を目指しながらも叶わず、解散ライブの会場でとなった場所だからです。BiSHにとっては因縁でもあり、必ず超えていくべき場所でした。

彼女たちは、もう二度も横浜アリーナのライブを成功させています。

「FiNAL DANCE」の歌詞の最後は、

これFiNAL FiNAL DANCE 思い出すのも苦痛になるよ? まいっかもう終点だ
いつかまたこの場所へ いつかまたこの場所へ

BiSは解散しましたが、BiSHとして横浜アリーナへ帰ってきた・・・その物語がここで、ひとつ完成してしまうんです。

いつか、横浜アリーナで「Nothing.」が聞きたい。

ファンとメンバーが大困惑、「オーケストラ事件」

今回紹介する最後のエピソード、「オーケストラ事件」について。

2017年3月に開催されたWACKオーディションで、チーム対抗戦によりBiSHとGANG PARADE、BiSで対決させ、BiSHの代表曲であったオーケストラがBiSHからBiSへ、そしてGANG PARADEへと渡ってしまうというもの。

BiSHのメンバーは戸惑いを隠せない様子でした。
ニコ生で実況中継を見ていたファンは、プロデューサーの渡辺淳之介に対して残酷サイコパス!!!!と感じたはずです。

最終的にはBiSHへと戻りましたが(泣)

WACKのオーディションは毎年過酷で様々なドラマが起こります。

なぜ私たちは「BiSH」の話がしたくなるのか

ここからは考察をまとめていきます。

ご紹介した上記の全ての出来事や体験は、物語のデザインではじめの一歩として重要となる「翻弄」にあたります。

次に物語のデザインに必要な「成長」、すなわちファンにどうついてきてもらうか。ここでいう「成長」は全体像を予感させることで収集と反復を経験させ、ファンを成長させる(=なんども同じ状態を経験させて伏線回収させる)ということ。

上記であげたゲリラCD発売や、公式アカウントから「本日21時にお知らせあるからよろ」というツイート、BiSからの伏線の回収などは物語のデザインにおいて「成長」にあたります。

そして物語のデザインで最も重要な「共感」。共感とは、主人公(BiSH)とプレイヤー(ファン)が同じ思いを持つことを指しています。筆者曰く、これが共感の体験の試金石、天王山だそう。

オーケストラ事件では、主人公(BiSH)とプレイヤー(ファン)は、ほぼ同じ感情になっていたのではないでしょうか。

・オーケストラを返して欲しい

・渡辺淳之介、サイコパスすぎるだろ…

など。
この絶体絶命な状況をファンが一緒に体験することで、目線を客観から主観へと入れ替えています。

そして、最後が「意志」。主人公のBiSHとともに成長したファンがそれでも推すのか推さないのかを選ぶことができるので、残るのは「BiSHらしさを理解し、それが好きなファン」のみ。

だから彼らは楽しそうにBiSHに話を語るのです。

結論、BiSHが口コミで広まる理由は、

思わず周りに言いたくなってしまう強烈な体験(エピソード)を経験し、乗り越えた人(清掃員)がBiSHの話をし続けるから。

"体験が感情になり、エピソード記憶として生成される。強く記憶に残るかどうかは、強く感情が動いたかどうかで決まる。"

この本で物語のデザインの結論として書かれていたことです。

ここには書ききれない強烈なエピソードがまだまだあります・・・!

さらにBiSHについて知りたい方は、メンバーインタビューをまとめたこちらのURLをご覧ください。

ここまで読んでいただきありがとうございます(ぺこり)

2020年もたくさん現場にいくぞーーーー!!!


OGP画像:きま・Dさんのお写真を拝借いたしました☺️ありがとうございます。

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