新卒入社1年で責任者になった私がおすすめする、早くから成長できる会社の条件
はじめに
こんにちは。
株式会社エイチームコマーステックの望月と申します。
名古屋に本社がある株式会社エイチームの100%子会社として2年前に設立された、とても若い会社で経営デビューし、代表を務めています。
そんな経営者として未熟な私が、日々成長するために様々なインプットや思考を繰り返す中で、気づいたことや分かったことなどを発信するnoteを毎月書いています。
この記事について
この記事は、今まさに就職活動中の学生さんや、活動する先輩の後ろ姿を見て緊張感が高まっている学生さんが、どのように会社を選べばいいか、私個人の観点からアドバイスする記事です。
私の拙い経験が、誰かの役に立ってくれると嬉しいです。
新卒採用面接でよく聞かれる質問
私は毎年新卒採用の面接官を担当するため、学生さんの話を聞く機会が一定の頻度であります。
面接の中で、どのような会社を探しているのか質問すると、体感で半分くらいの学生さんから「若いうちから裁量権がもらえる会社」という回答が返ってきます。
また、なぜ裁量権がほしいのかと質問すると、こちらも体感ですが、そのうちのほとんどの学生が「早いうちから責任者として活躍したいから」と回答します。
なるほど。
責任者になりたいから、早いうちにそのチャンスがほしいという理屈はわからなくもないと思います。
一方で、私自身を振り返ってみると、若いうちに裁量権を得られれば早い段階で責任者として活躍できるかというと、そうとも言い切れない経験をしてきました。
新卒新人時代の私のキャリア
まずは私自身が新卒新人としてどんなキャリアをたどったのか説明します。
私は2001年に、年功序列を全面否定し、完全実力主義を掲げた点に惹かれて株式会社ファーストリテイリングに入社しました。
その動機はまさに、今の学生と同じ「若いうちから裁量権が与えられる」からでした。
実際に私のキャリアを入社から3年間でまとめると以下のようになります。
半年後:店長代理資格取得
1年後:配属店舗で店長に昇格
1年半後:S&B(スクラップ・アンド・ビルド)※のため異動
2年後:旧店舗の閉店と新店舗のオープン
3年後:より大きな規模の店舗に異動
※S&B・・・古い店舗を閉店し、同じエリアで新しい店舗をオープンすること
ユニクロでは、新卒新人が全員店舗へ配属され、半年ごとに行われる「店長代理資格認定試験」という店長になるための社内資格の取得を目指します。
2001年に入社した同期が350名ほどで、1年目に店長代理資格認定試験を通過したのが10名前後だったと記憶しているので、新人の通過率は3%というかなりの狭き門でした。
運よくその試験を通った私は、入社3年目までに3つの店舗で店長(責任者)を経験してきました。
23歳で責任者になってみて
ここまでを読むと、とても順風満帆なキャリアだと思われるかもしれませんが、私の率直な振り返りとして、この3年間はまったくうまく立ち回れた実感がありません。
もちろん今となってみれば、あのときに足の指が折れるんじゃないかというほど背伸びしたことはいい経験だったと思えますし、多くを学べたとも思っています。
しかし、中身は責任者としての役割は果たせたとは言えないもので、はっきりいって失敗でした。
いい経験といえるのは、その後のキャリアでこの失敗を踏まえて取り組んだからであり、反面教師として扱っている経験ということです。
当時の私は毎日店舗で起こる問題に振り回されていました。
入社して1年で責任者になった私にとっては、初めて遭遇する問題が多いことに加えて、店舗の作業から問題の対応方法までを網羅したマニュアルが整備されていたのに、それを自身の血肉にできておらず、場当たり的な解決行動を繰り返してしまっていました。
このときの経験から確信をもっていえますが、場当たり的な問題解決を繰り返しても、状況はいっこうに良くなりません。
それどころか、問題解決に疲弊し、状態を悪化させてしまうことさえありました。
新卒新人時代の私の最大の失敗は、「問題解決をマスターせずに責任者になったこと」です。
問題解決をマスターする
問題解決がマスターできている状態は、言い換えれば、ある程度の問題を経験済みであり、問題発生時に解決までの道筋が見えている状態です。
そして、この状態を手に入れるのに必要な材料が、「大量に発生する問題」と「解決方法の教科書(=マニュアル)」です。
経験上、店舗で起こる問題は来店する顧客の数に比例します。
そして、ユニクロのような売上規模であれば、それに見合ったたくさんの顧客が毎日来店しますし、店舗には店長が一人しかいないので、その問題は全て私のところに集まってきます。
問題解決をマスターしていない私は、毎日たくさん起こる問題をマニュアルへの深い理解なしに対応していました。
これは、教科書をきちんと読まず、基本を理解できていないのにひたすら応用問題を解いているの状態だったことが今になってわかります。
どれだけ数をこなしても、そもそも解き方がわかっていないので、必要以上に時間をかけ、場当たり的に考え、その対応が正解だったか振り返って整理する間もなく次の問題にとりかかるので、経験値が正しく増えずにずっとレベルが上がらない状態です。
もし、私があのときの自分にアドバイスすることができるなら、間違いなく「マニュアルを死にものぐるいで身につけなさい」と伝えるはずです。
それをやった結果、仮に店長昇進が遅れたり、責任者として掴むチャンスが減ったとしても、手に入れたチャンスの中で役割を全うできたのではないかと思います。
責任者の仕事は問題発見
問題解決をマスターすれば店舗の責任者として役割を全うできるのかというと、そうではありません。
むしろ、問題解決ができるようになることはゴールではなく、スタートラインです。
なぜなら、責任者の仕事は問題発見だからです。
問題解決がどれだけ無駄なく、スピーディーにできるようになったとしても、問題の発生元に手を打たない限り、起こり続けます。
例えば、店舗でよく起こっていたのはボトムスの裾上げの仕上がり不良です。
具体的には顧客の求める長さと違っていたり、縫い目が荒かったりという問題です。
責任者がやるべき本来の仕事は、顧客の怒りを早く鎮めることでも、ボトムスをすぐに縫い直すことでもなく、裾上げでエラーが起こる原因を見つけ、発生しにくい仕組やルールを作ることです。
これはユニクロの店長だけにあてはまる話ではなく、会社の経営や新規事業の責任者であっても同じことがいえると思います。
責任者の役割は、解決すれば組織や顧客に対してより大きな価値を提供できる問題をまずは見つけることです。
そして、精度高く価値ある問題を発見することもまた、問題解決能力を培う過程で直面してきたたくさんの問題とそれを解決した経験によって鍛えられます。
言葉にするのは簡単ですが、その問題解決に価値があるかを判断できるかどうかは、結局のところ過去に経験した様々な事例がどれだけあるかにかかっています。
そのため、責任者として求められる役割を全うするためにも、前段にある問題解決の経験を積み重ねておく必要があります。
おすすめする会社の条件
あくまでも、若いうちから責任者として活躍するために、入社後すぐに裁量権がほしいと思っている学生さんに対しての私のアドバイスになりますが、裁量権よりも、大量の問題と解決の教科書がある環境を求めたほうがいいと思います。
大量の問題がある環境とは、扱うビジネスの規模が大きいのか、もしくは一人が担当する範囲が広い職場を指しています。
解決の教科書については、手順書やマニュアル、ドキュメントなどがある職場で、自分自身の努力と時間投資で身につく環境が望ましいと思います。
理由はここまで長々と書いてきましたが、要するに裁量権を持って自分で解決策をゼロから考えるよりも、しっかりと基本を身につけるほうが経験の密度が高まり、結果として目的達成に近づくからです。
おわりに
偉そうなことをたくさん書いてしまいましたが、これはあくまでも私が経験したストーリーです。
当然ですが、キャリアに正解はありませんし、誰かと同じ経験をしたからといって同じものが手に入るわけではありません。
共感できる点があれば取り入れ、共感できない点はすぐに忘れるくらい柔軟な姿勢で情報を取捨選択されることをおすすめします。
最後になりますが、長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。
また来月も何かしらを発信したいと思います。