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「朝活書写」を1ヶ月続けて得たもの

2022年5月31日に「朝活書写」を始めた。朝の時間に、文章を書き写す単純な習慣だ。継続して1ヶ月以上たつが、予想以上によかった。そこで、朝活書写の個人的に感じたメリットをお伝えしたい。


始めたきっかけ2つ

私が朝活書写を始めたきっかけは、主に2つある。

①普段触れない文章に触れたい

ライターの勉強として読んだ、古賀史健さんの著書「取材・執筆・推敲 書く人の教科書」で、心に引っかかった文章がある。

原稿の作り方についての章だ。ライターは作家などの独創性は求められていないが、原稿を読みたいと思わせるデザイン力が必要だ。その中の一つに、文章を楽しませて読者を満足させる表現力が求められる。

そのなかで、筆写について触れられていた。

しかし、書き写せばおそらく、読点の位置に驚いたり、語尾や文末表現のゆたかさに驚くだろう。普段自分が書いている文章とはまったく違うリズムが、そこに宿っていることを知るだろう。読点の位置ひとつで、文末の変化ひとつで、ここまで変わるものかと笑ってしまうかもしれない。そうやって「自分とはまったく異なるリズム」を発見し、自分の癖やリズムを再確認することが、筆写の効果だ。

取材・執筆・推敲 書く人の教科書(p.306)/古賀 史健 著

自分の文章を思い出すと、確かに手癖のようなものがついている。それでいて、他の人の文章の句読点を意識する機会があまりない。意識したとしても、仕事でメディアの文章に合わせるだとか、好きな作家さんの文章など偏っている。

この本の趣旨とは少し違ってしまうが、朝活書写でさまざまな作家さんの文章を書写すれば、おのずと自分以外のリズムも取り入れられるかもしれないと思ったのだ。

②集めた文具を使いたい

私の趣味は文具を集めることだけど、使う機会があまりない。子どもが生まれる前はコラージュや手紙のやり取りに使っていたけど、その時間がなくなった。

コレクションするのも立派な趣味だ。だけど、文具を使わないのはもったいない気もする。朝活書写をすれば、おのずと集めた便箋や万年筆のインクが使える。書写の時間も100文字ぐらいなら、10分と掛からない。

子育て中でも負担なく続く習慣だと思ったので、私は朝活書写を始めてみることにした。

私の朝活書写のやり方

実際のやり方を紹介する。あくまで私の例なので参考までに。ちなみに「朝活」というものの、上手く時間が取れないこともある。(なぜか早起きする子ども)なので、朝にこだわらず時間を作って行っている。

①お題を選ぶ

書写をするには、まず書写する文章を決めなくてはならない。毎日お題を考えるのは大変なので、Twitterの書写アカウントのお世話になっている。個人的に好きなのは以下のアカウント。

  • 朝活書写のお題(@asakatsu_shosha
    毎朝5時に青空文庫から書写の一文お題を出してくれる。

  • 飯テロ書写のお題(@gourmand_shosha
    水曜と土曜の朝に、青空文庫から「食」に関する文章のお題を出してくれる。

  • 旅する書写のお題(@tabisurushosha
    土曜・日曜・祝日朝6時に、青空文庫から「地名」や「観光名所」を含む文章のお題を出してくれる。

書写アカウント、実生活もあるのに無償でお題画像作ってくれていてすごい。いつもありがとうございます。

②文具を選ぶ

書写なので、紙と筆記具さえあれば何でもいい。ただ、私の場合集めた文具を使うのが目的なので、お題に合わせて文具選びをする。

木が書かれた文章なら緑色の一筆箋、夜を描いた文章なら「夜」と名の付く万年筆インクなど、選ぶ時間も楽しい。

③実際に書く

お題画像を見ながら実際に書いていく。書写なので多少書き方には気を遣うが、続けることが大事なので、間違っても気にしないことにしている。

実際の書写の様子を動画にしてみた。見ていて楽しめるように、色変化の大きい万年筆インクを使っている。再生速度は2倍速。あえて筆記音は消していない。

▼今回使ったインクはこちら。プラチナ万年筆のクラシックインク、シトラスブラックだ。

④SNSにアップする

書写アカウントのルールに従ってSNSにアップしている。スマホでスクエアサイズに撮影。もちろん、アップしなくても問題ないのだが、モチベーションを上げるためにやる。

⑤ノートに貼る

私は一筆箋に書写しているので、バラバラにならないようにノートに貼り付けている。一筆箋でノートが膨らんでも閉じた状態をキープできるように、リングノートを使う。

直接ノートに書かず、書いた紙をノートに貼り付けるというのは、工程が増える分めんどくさい面もある。だが、どんな筆記具を使っても裏写りを気にしなくてもいい、という良い面もあるのだ。

朝活書写を続けて感じたメリット3つ

朝活書写を1ヶ月続けてみて、始めたきっかけ以外に感じたメリットが3つあった。

①充足感が高まる

子育て中は、子どもの体調不良など不確定要素が多い。その上、コロナウイルス感染症による長期間の保育園休園など、思い通りにならないことによるストレスが増えた。1日の終わりに、「今日も自分の時間がない…」と不満に思うことある。

そんなとき、毎日続ける、目に見える習慣は思った以上に充足感が高まった。10分でも自分の時間を取り、書写という形が残るため、「今日は、書写ができたからよかったかな」と満ち足りた気持ちになるのだ。

③漢字を思い出したり、新鮮に感じる

書類を作る仕事などは大抵パソコンを使うので、手書きの機会があると「あれ?どう書くんだっけ?」と意外と漢字を忘れてしまっていたことに気づく。

朝活書写をすると漢字を書き写すので、「そういえば、こういう字だったな」と思い出すことも多い。

また、書写のお題は、青空文庫というインターネット上の図書館から採用している。著作権の消滅した作品を集めているので、おのずと昔の作品に触れることになる。そのため、その時代ならではの漢字の使い回しを読むのが面白いと思った。

普段触れているWeb上の文章は、読者に読みやすくするため、意識的にひらがなにしている。だからこそ、難しい漢字の文章がなおさら新鮮に感じるのだ。

③無になる時間が得られた

スマートフォンは便利だが、ふと気づくと見てしまう。お行儀が悪いと思いつつ、食事をしながら…みたいに一度に二つのことをやってしまい、どちらも中途半端ということもしばしばある。

また、子育て中はマルチタスクの連続だ。家事に集中したいが、子どもに声を掛けられる。質問に答えたり、包丁などの危険が子におよばないかなど、かなり意識が分散される。

ペンを取り、書写をしているときは、その時間に集中している。「今この瞬間」に集中して取り組むのは、頭がスッキリするのだ。

「文字を書く」のはシンプルに楽しい

朝活書写のメリットなどを紹介したが、何より気付かされたのは文字を書くことは楽しいということ。文章を読む、文具を選ぶ、実際に書き写す…アナログでめんどうだと思われる一つ一つの工程が、私の心を落ち着かせ楽しませてくれるのだ。

「そういえば最近、ペンを握っていないな…」という方は、ぜひ朝活書写を試してみて欲しい。

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文具マガジンやっています。文具レビューの他に、文具を通したライフスタイルについても語っています。

個人的にガラスペンの書写が楽しい。

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