転ばぬ先の休職
実は私休職経験があります。当時の上司との折り合いが悪くなり適応障害で数ヶ月休職しました。特にそのことをnoteで書くつもりはなかったのですが、最近Xで当時の私と同じように追い詰められている人をみたり、会社でも休職寸前の人の話を耳に挟んだりでなんだか他人事に思えず記事を書いてみようと思いました。私は休職を体験してかなり人生観にポジティブな影響を受けたので、今辛い人にもそんな考え方があるのかと安心していただけたらな、なんて期待を込めて書きます。
休職は人生一幸せな時間だった
私が休職期間中に感じた一番率直な感想です。会社に属しながら仕事をしなくてよい。朝夫を見送り朝ごはんを食べ、軽く家事をしたら資格の勉強をする。その後お昼食べたら勉強の続きかドラマを見て過ごす。夕方になったらスーパーへ行き夕飯作り。夫が帰ってきたら一緒に夕飯を食べお風呂に入り眠りにつく。なんてことない地味な生活でしたが明日も明後日も仕事の都合を考えずただ生活を送る、そんな日々を過ごすうちにめきめき体力気力ともに回復しました。私の場合鬱ではなく適応障害であったという点は大きいかもしれませんが、ストレス源である職場から離れたことで穏やかで安定した精神を取り戻すことができました。復職した今でも頻繁に「あの頃の日々に戻りたい…」と思うくらいです笑。
休職即転職活動はダメ絶対。まずは心の休養を!
休職される方でたまに休職開始とともに転職活動される方がいます。職務経歴書のブランクを気にされてのことだと思いますが、個人的には絶対やめて欲しいです。休職に至った時点で相当に精神は疲弊しています。判断力もままならないことがほとんどです。休むために手続きしたわけですから後のことなど全部忘れてとにかく休むことに集中しましょう。休職は会社員の正当な権利です!(後述しますが)休職したところで人生詰んだりしません!!まずは!休め!!!!!!好きなだけ飯食って寝ろ!!!!!!
復職までにやっておくこと①経緯の整理
休職直後〜中盤までは各自気の赴くままに過ごし精神の回復を図りましょう。終盤にはそろそろ復帰の話を産業医や職場の人に伝えねばならず、休職した人は多かれ少なかれ焦りが生まれると思います。転職した方がいいかな、復帰したところでうまくやれるかな、腫れ物扱いされないかな、など不安が絶え間なく押し寄せることもあるでしょう。お気持ちは大変わかります。ただ私自身や周りの経験者を見る限り、休職したことでその後も永遠と苦しんでいるケースは少数です。同じ会社で復職し役員クラスまで昇進された方も知っています。しかしシンプルに復職したら何となくどうにかなる、とは私も思っていません。復職までに経緯の振り返りと今後の対策を考えることは必須です。日常生活が正常時と変わらず過ごせるようになったら改めて自分が休職に至った経緯を振り返ってみましょう。辛いですがここを有耶無耶にすると後後同じ状況になった際、再度休職という判断をすることになり前回よりももっと精神的に辛くなることが予想されます。
経緯は複数の要素が絡み合っているものです。ここは自分で紙に書き出すなどで整理しましょう。注意点としては、この整理を最初から他人にやってもらおうとするとうまくいかない(なんなら相手に分かりづらいって顔をされて余計へこむ)可能性があるのでご自身でやられることをお勧めします。特に会社関係者はあくまで不随業務のひとつとしてヒアリングを行っているだけですから全て頼ろうとするのは避けるべきだと思います。精神状態などは一定程度考慮されますが彼らも休職者のケアが本職ではなく、半分善意で行っているに過ぎません。一度ご自身で整理したうえで、更に他者の助けが必要な場合は(産業医でない※)精神科医、臨床心理士などの助けを借りるのがよいでしょう。この振り返りの際のポイントは長くなるのでまた別の記事でまとめます。
※産業医は会社関係者ですし、関係部署への報告者としての性質が強いので何を伝えるべきかは慎重に考えた方がよいと思います。産業医の方を軽んじているわけではありません。会社員である以上、どんな状況でも誰に何を言うかは慎重になるべきという主張です。
復職までにやっておくこと②レジリエンスの醸成
「レジリエンス」という言葉は人によっては拒否感のあるワードかもしれませんが、個人的にはまじめに向き合うべきことだと思います。ここでいうレジリエンスとは、"休職に至る要因と似たような事象が今後起きた時の気持ちの持ち方"や"休職に至る前兆のような体調の変化が出始めたときの持ち直し方"などを指します。休職に至る要因や事象は突き詰めると人生でそれなりの確率で起こるものだったりします。休職は多くの場合人間関係が要因ですが、社会に属する限り人間関係の衝突は避けられないものです。どの社会にも属さない生き方はかなり難しい、というより実質不可能です。それに衝突を避けたいから人間関係を狭める、といった発想は本来の個人の魅力を半減してしまう、非常にもったいない考え方だとも思うのです。どんな人生にも困難は付きまとうものですから、それを乗り越える力をつければ今後生きやすくなりますし本来自分が成し遂げたかった目標にも到達できるのです。
じゃあどうやってレジリエンスをつけるのよ、という話です。それは前段の振り返りで導かれた要因に対する対策を考えることです。注意点としては、もし要因分析そのものがずれていると対策の方もピントがずれたものしか出てこなくなることです。なんか偉そうにつらつら書いていますがこの一連のフローは結構難しいことだと思ってます。私も自身の要因とそれに対する対策の整理をしっかりできたかというとそうでもないです。復職して第3者と会話をして初めて自分の認識がずれていたなと気づくことも多々ありました。対策は頭で考えることと実際やってみるのとでギャップがありますから、ここはトライアンドエラーで徐々に正解を作っていくものなんだと思います。具体的なことは前段同様別の記事で書きます。
休職は人生の終わりではない。自分が新しい生き方を欲しているサイン。
ここまで読まれた方は「気の遠くなるような話だな」「やっぱ復帰までって一筋縄ではいかないんだな」など思うかもしれません。まあ実際その通りです。一回壊れた心を平常状態に戻すのってかなり時間も手間もかかることです。しかし逆転の発想をすると休職に至ったということは自分の本心が今とは違う新しい生き方を求めているサインでもあるのです。強いストレス下で活躍することを良しとする価値観で働いてきた人も多くいるかもしれません。しかしそれができているから幸せだとも限りません。今の職場での適性と人生の幸福は必ずしも直結しないのです。休職はそもそも自分にとっての幸福とは何なのかを考える良い機会です。今自分は生き方を見直すフェーズに入ったのだと認識することで、自身の価値観や本来の性質に気づくこともあるでしょう。そのときポジティブな結論に至れるよう(もっと言うと逃げの発想にならないよう)前述した経緯と対策の整理はきちんと行うことをお勧めします。
休職は人生の終わりでもなんでもありません。一方でただとるだけで誰かや何かの力で良い方向に好転する魔法でもありません。気づきを自分で得て自分で生き方を決めるチャンスが与えられる時間なのです。こんなに自身のことに向き合える機会はなかなかありません。どなたも良い方向へ向かうことを祈っています。私も道半ばですからともに頑張りましょう。
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