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ファミリー

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この世界では、20歳までが寿命だと決められている。 僕は、そうした人たちの命日を見送る施設で働いている。 僕は、家族と毎日対話をする。 ある日、対話の後、レインが「死ぬのがこわい…
運営しているクリエイター

#SF

ファミリー #1

 手渡されたボールを持ったとき、僕はいつもその柔らかさに拍子抜けしてしまう。心の中にある…

大塚雅美
8か月前
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ファミリー #2

「うーん、だって。おいしいものとか、たのしいこととか、まだまだ体験したいし。二十年は短す…

大塚雅美
8か月前
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ファミリー #3

 僕、イナモ、サマー、モク、レイン。みんなそれぞれ違う形の椅子を円に並べて対話をする。そ…

大塚雅美
8か月前
3

ファミリー #4

 レインはキッチンの隅々を目で見て、頭を動かしながら点検していた。まるで、この世界の輪郭…

大塚雅美
8か月前
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ファミリー #5

 目が覚めたときにまず思うことは、今日もまた一つ分、新しい一日を生きなければいけないとい…

大塚雅美
8か月前
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ファミリー #8

 僕らは、見回りながら入り口に集合する。僕らを確認するとリーダーのポムが、壁のハッチを開…

大塚雅美
8か月前
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ファミリー #9

 僕らは、長い動く歩道を歩いていて、その前にも何人も人がいる。列はスムーズに進み、僕らは脱衣所でも簡単に服を脱いで、黒いロボットがなかなか脱がない人を運び出していくのを横目に見た。  レインの体の肌の色も見たことがないはずなのに、夢の中ではしっかりと鮮やかに想像することができた。  そして、裸足で柔らかい床を踏んで浴場に向かう。ガラス張りのドアが開き、温かい湯気が僕らの体を包む。冷たいタイルの床を踏んで、視界いっぱいに広がる緑色のお風呂に僕らは進んでいく。  レインが浴槽の縁

ファミリー #10

 そして、ロボットが僕をめがけて加速してきた瞬間に僕は飛び上がった。黒いロボットはすごい…

大塚雅美
8か月前
3

ファミリー #11

 森を歩いていたら、いつまで歩いても景色が変わらない暗闇になってしまった。僕らは叫んで泣…

大塚雅美
8か月前
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ファミリー #12

 晩ご飯の準備はみんなでした。僕らは料理も自分たちでする。僕がお米を研いで、炊飯器に入れ…

大塚雅美
8か月前
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ファミリー #13

 イナモが机を拭いて、サマーがその机をどかす。僕とレインは椅子をいったん広げて、机を脇に…

大塚雅美
8か月前
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ファミリー #14

「だって、それは何かがテルハに伝えようとしているから。」 「そっか。」  僕は全く意味がな…

大塚雅美
8か月前
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ファミリー #15

「私、ここにいてもいいのかな」  レインは言った。 「対話をしてて思うんだ。私の言葉はみん…

大塚雅美
8か月前
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ファミリー #16

「どうして対話するのって、それはここにいてもいいよ、って伝えるため。僕はここにいるって、わかるため。そうなのかもしれないよ。」  僕は、その一言を自分で言ったことで、深い暗闇を落ちていった底に、温かくて柔らかい青色の海に出会ったような気がした。僕は、優しい気持ちになって、涙が出た。 「うまく話せなくても、それが誰かの考えを深めるきっかけになるし、レインが迷っていることを教えてくれたから、僕は考えたことがない事を考えられたよ。  レインが話してくれる体験も、僕にとっては知らない