「あんた」(アクターズ・ショート・フィルム2)
千葉雄大監督の「あんた」。
伊藤沙莉さんと千葉雄大さんの、これ普段の様子撮ってるだけですか?ってくらいの生き生きした会話に思わずにやける。
千葉雄大さんて、最初はあざと可愛いキャラという感じで一世を風靡したけど、本人は本当はこんな感じで「てかその男はちゃんとゴムつけたんでしょうねぇ!?」とかぶっちゃけた会話して楽しそうに笑うんだろうな、と、感じて、改めて好きな俳優さんだなと思った。いや、現実は違うかもしれないけど。
伊藤沙莉さん演じる女の子が彼氏できた話して、最初はスイッチ入れてお茶目に話聞こうとしたのに、女の子が彼氏の良いところを色々話し始めたら斜め下見て俯いてて、あー顔見て聞けないんだろうなとか、なんか、後悔したり悲しくなったり寂しくなったりしてるのかな、と感じて、胸がくうっとなった。
この友達以上恋人未満な感じ、伊藤沙莉さんと千葉雄大さんの2人で醸す雰囲気が本当にむず痒くて「いいいっ」ってなってた。
「あんた」って呼び合えるこのノリが2人にとって特別なことは確かで、確かに2人の絆はあって。
お互いの気持ち察せて、自分がいま相手に何て声をかければいいのかも感じ取れて、行動に移せて。
どこまでも自分を責めるのが男の子、優しいなと思いつつ、なんか寂しさで思ってもないこと言っちゃうのもすごい共感。
でもね、相手にそこまで自分さらけ出せるのって、この子めっちゃいいやつだよ。
相手の前では「おめでとう」を演じ切って、陰で愚痴る人だって沢山いるはずなのに。相手がどんなに親友でも。
ひとりでいても、誰かのことを考えてあれこれ動いてる時間は孤独じゃない。トマト作ってる時間は孤独じゃなかったのに、その時間すら孤独に変えられてしまう。それが寂しいのかも。すごく共感した。自分は変わらず相手を想う時間があるのに、相手の時間には他の誰かが入ってきてて、自分はその誰かよりも他人になってしまう。友達と恋人って何が違うんだろうな。恋人には言えないことを、友達にはさらけ出せたりするのに、将来家族になれるのは恋人なんだよな。
なーーーーーーーんか、あーーーーーー、寂しくてこの子と住みたいの?好きなら好きって伝えなよ、あんた!と、ソワソワして、でも、唯一無二の関係?愛情はあるけど、みたいな?もう、このまま一生こんな感じでもそれはそれで尊いか。人生か。と、納得…するような。
役名がないところも、「名前のない関係」を描いたこの作品らしくて好きだ。
名前じゃなくて「あんた」って呼び合えるのって、心許してるからこそだよね。
名前って、誰でも呼べるもんね。と、今気づいた。