恋が終わるたびに私は、相手への気持ちやら自分の感情やら、思い出やらを文字に綴る。 ’友達’という名の鈍器で殴打され、終止符を打った今回の恋は、2年半ただ食事をして、ただ散歩をして、ただ日常を共有した。 手をつないで走ったこともあったな。なんか、忘れたけど。 出会いはなんだったっけ?酔っていた私にお水をくれたんだ。覚えてないけど。 お酒とベッドには無縁故に、今時味わうのが難しいくらい純度が高くて、じわりじわりと喉を焼かれていた。 毎回刻まれるのはまぶしい太陽の色と、言葉にな
毎年ぼんやりと思い出す。 500mlのビールを半分こにした夏を。 1Kロフト付きの彼の部屋に転がり込んで、毎朝毎晩一緒に暮らしていた。 ロフトを寝床にしていた私たちは、朝起きるたびにじんわりと汗をにじませて、ああ夏だなあと感じていた。 当時、わたしは学生。 彼は売れないバンドマン。 とにかくお金がなかった。 外に飲みに行くのは月に1度あるかないかで、 飲むと言えば狭い家の狭いベランダ。 彼はタバコをぷかぷか。 わたしは、駐車場に遊びに来ている猫をぼんやり眺めながら
いつもの失恋旅行。 否、結果として失恋旅行になってしまっただけで、 旅を決めたときには、わくわくした気持ちが詰まった一人旅のはずだった。 なぜか昔から、出発の直前に、すきな人から別れを告げられることが多い。 確か、前回の旅行のときはしょうくんにフラれた。 今回は、ゆうたくんにフラれた。 わたしも懲りないものだなあと思いながら、飛行機に乗るのだ。 これから、どうなっていくのだろう。どうなりたいのだろう。 自分のことながら、何故か他人事で、正解も不正解もわからない。 窓際
フラれた。 青天の霹靂とはまさにこのことだ。 一昨日の夜は二人で仲良くタイタニックを観ていたはずだ。 昨日の朝は、いつもどおり私は早起きして仕事に向かった。 普段はいってきますのキスをせがむけど、 眠そうに顔を背けていたから諦めたんだった。 いつもどおり、ありがとうと連絡をして、 いつもどおり、ありがとうと返事がきて。 いつもどおりの恋人だったはずなのに、 なにがどう違ったのかわからないまま、 恋が終わった。 時間というものは、優しいのか厳しいのか、 分け隔てな
「フラれた。」 泣きながらメグに電話をした2ヶ月後に決行したのは、いわば失恋旅行である。 メグの友人が住んでいるから、 そんな理由で選んだリゾート地、インドネシアのバリ島。 メグの友人リンドーは、想像以上のハッピー野郎で、太陽みたいにまぶしくて真っ直ぐな人だった。 広くて青い海と空、人の温かさが彼をそうさせているのだと思った。 「泣きたい時は思いっきり泣いて、海に行ってビールを飲んで疲れたら寝てしまおう。」 そう言って手を繋いで、さめざめと泣く私の隣にいてくれた。