7時間の距離

「フラれた。」

泣きながらメグに電話をした2ヶ月後に決行したのは、いわば失恋旅行である。

メグの友人が住んでいるから、
そんな理由で選んだリゾート地、インドネシアのバリ島。

メグの友人リンドーは、想像以上のハッピー野郎で、太陽みたいにまぶしくて真っ直ぐな人だった。

広くて青い海と空、人の温かさが彼をそうさせているのだと思った。

「泣きたい時は思いっきり泣いて、海に行ってビールを飲んで疲れたら寝てしまおう。」

そう言って手を繋いで、さめざめと泣く私の隣にいてくれた。

恋愛の甘くてふわふわな部分だけを味見しているような一週間だった。

帰国しても彼との連絡は続いたが、暑い異国でのロマンスは私には甘過ぎた。

「リンドー日本に来たってさ。しばらく大阪に住むみたい。」

メグからその話を聞いたのは、失恋旅行から2回目の夏を迎えようとしていた6月のこと。

そして私は今、大阪行きの飛行機を待っているのだから、人生わからないものだ。

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