薬用ハーブの宝箱 マリア トレーベン著
マリア トレーベンの本について語る前に その姿がちょっと重なる東城百合子氏の本に触れたい。
「自然療法」表紙に書いてある通りである。こんな草が、こんな方法がと驚くようなことが広く網羅されており大変興味深い。
ハーブに興味があるなら 日本の自然に基づいた日本人著のこの本もぜひそばに置いておきたい。
時々読んでいる。食べ物や植物の薬効が記されていて、はて、本当に効果があるのだろうか。どんな裏付けがあってこの記述はあるのだろうか、などと思いを巡らしつつも自然療法を説き続けた氏の助言に耳を傾けてみている。
日本人の身体には日本の日本の草、薬草、日本でも伝統のある漢方、薬膳をふわっとでもいいから意識したいもの。
とはいえ自分は日本からは長いこと離れて暮らしているし、東城百合子氏のいう身近な植物も見当たらなかったりする。気候の厳しいここではスーパー植物枇杷(びわ)は生えていないし、梅も柿もゆずもさつまいもも植えればどうにか生えるものの この土地で生き抜いてきたものではない。ここの土地でどうなのか。そうでない世界から集めてきたハーブ、スパイスももちろん興味深い。けれどもまずは足元からの恵みを知りたいと思うのだ。
人類が長いこと住んでいるヨーロッパにも本草学に類した知識が受け継がれているのではないかと長年思ってきた。しかしながら 「漢方」のような体系だった学問としての伝統は見当たらない。現代こそハーブなどをはじめとする自然からのアプローチを旨とする教育機関もあるようだが(聞き齧り)
他の国のことはわからないけれどドイツ語圏ではハーブや自然療法への関心がとても高い。風邪を引いて咳がでたらこのお茶、、お腹がガスで張る時のお茶、消化促進のお茶などは良くお世話になっているしはっきりと効果を感じる。どこのメーカーのものが自分にはあっているかなどもわかってくる。
肝臓と胆嚢のためのお茶、女性のため、とかスギナのお茶、〇〇茶など各ハーブに特化したものも、安眠のためのお茶など様々なハーブティーが各々のスーパーやメーカーが発売している。
ハーブの本は何冊か持っていたし、興味があるので少しずつ知識は増えていったけれどももう少し体系的に知りたい。できれば薬効成分などの知見などあれば知りたい。
というわけで手持ちのドイツ語のハーブの本を久しぶりに開けてみたら、あーあのね、なんというか字が小さくなってない?じゃもちろんなくて老眼で読めない。老眼鏡を持っていないのでとてもとても横文字を追う気になれずこりゃあKendleで探そう。
Kindle本屋に到着。使いにくいなあ。この仕様どうにかならない?
さて、Kindle版ハーブの本と‥
興味深いことに
薬草、知識、ハーブ とか 〜の失われた本
(昔は知られていたけど今まで忘れられハーブの知識)のようなというタイトルの本が非常に多い。
これは中世キリスト教時代に断絶してしまったはるかギリシアの時代、もしくはさらに遡る知識のことなのだろうか。修道院に伝わるハーブや手当、レシピなどもあるようだが、果たしてそれが一般的な知識だったのだろうか(教えて詳しい人)
欧州なりに中世を乗り越えて存在はしていても近代の産業革命、薬品工業の発達、科学万能、礼賛により人々から振り向かれなかった知識のことを指すのだろうか。
洋の東に漢方、本草学が存在して、西にそれが全く存在しなかったとはとても思えない。確かに地中海性気候は植物が繁茂するのには適さないけれどもその土地にあった植生は存在しているし、そこに住む者が薬効のある植物を利用してきたはず。我々日本人だって知っているハーブについてもう少し知りたいではないか。
(庭に生えているセイヨウノコギリソウ/ヤロウとかクローバーとか近所に咲いてるエルダーフラワーとか)
すると1907年オーストリア生まれのMaria Trebenマリア トレーベン女史の著作 Gesundheit aus der Apotheke des Gottes 一時代!前の人である。
(神様の薬箱から健康を 的な. 副題 ハーブのアドバイスと経験 邦題 薬用ハーブの宝箱 絶版らしい )が見つかった。(はあ、ここまでたどり着くのに長っ)
20ヶ国語以上に翻訳され累計一千万部以上読まれている現代まで続くベストセラーとのこと。
つまり彼女以前には基本的なハーブのみを網羅した民間療法でさえ、手にとって参考にできるような本はなかったと言うことなのであろう。
私が探していたハーブそれぞれの化学的薬効、成分などの現代的な情報は載っていない。
そして批判もある。
どんなに勉強家でも一個人の経験と広く集めたとはいえ知識では特に現代の視点から見れば裏付けがあやふやだったりするはず。
間違った処方であるとの指摘もされてきたようだ。
体験談とアドバイスとあるように 意外にざっくりとした本だ。こういう症例にコレをこのように使ったらとても効いた。軟膏とチンキを両方使うと何日間で効果があった。こうすると良い。作り方。などなど。。あげているハーブは31種類。
どうやら基本のキ おそらくハーブを齧っておこうと思う人多くの々が目を通す入門書?古典であると思われる(一千万部という数字から想像)
イラクサは一番血をきれいにするのに良い薬草です。膵臓に良い影響を与える時は血糖値もさげ、尿路の炎症云々便通も良くなるなど
ふむふむ
知っているとまずは試してみても良いのではと思えるアドバイスが載っている。身近な野草である。そこがえらい。
そして 必ず、どの症例でも医者に相談すること という太字の但し書き付き。
話が長くなったが、この本が東城百合子氏の著作と重なる。当然といえば当然なのだろうが 西にもこういう仕事をした人がいたのだ。
この本でアルプス以北の(地中海に比べると)寒冷な土地でのハーブの基本のキ知識をインプットできるような気がしている。(もちろん他国同様ドイツ語でもハーブ、薬草の本は今では本当に沢山ある)
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Kindleは文字の大きさを調整できるのが本当にありがたい。本当は紙の本をパラパラとめくって拾い読みしたいけれども 目、目がァ
本の表紙を飾るのは イラクサとタンポポとペンペン草とこの綺麗な紫のマメ科に見える花はなんだろう。よく見かける気がする。
続編としての「神の庭の薬草」Heilkräuter aus dem Garten Gottesはハーブで治療を目指した本。評判も良い。