足立区の決闘
私は足立区が好きだ。
イイ感じの居酒屋や、住みやすい街並み、昔ながらの銭湯や商店街。
それだけだと足立区はとてもイイ街!で終わるが、足立区はそうじゃない。
足立区の一番のおもしろいとこ(ぶっ飛んでるとこ)はズバリ、人だ。人がおもしろい。
足立区の駅近くではお酒を飲み過ぎて駅前で潰れている人や、その隣でイチャイチャ濃厚接触するカップル。
フィリピンパブに行けばそこらを締めてる親分とその息子と一緒に飲むこともあったし、街を歩けば鳩を自由自在に操る謎のじいさんや、ラブホの1階を居抜いてそのまま寿司屋にした職人。
繫華街に行けば「1時間1円でいいよ!」というけど、ぼったくり間違いなしのキャッチの兄ちゃんなどなど。
中でも強烈だったのが、学生を追いかけ回すことで有名だった千住ババアと呼ばれる白髪鬼と、千住ババアのライバル、紫髪の紫ババア。
今はどうかわからないが、そんな魑魅魍魎がウヨウヨいるのが足立区の良さ(?)であり面白さであった。
そんな足立区で2019年に変わった罪で書類送検される出来事があった。
罪名は決闘罪。つまり足立区で決闘が行われたということだ。
「決闘ってサムライの時代にしかなかったんじゃない?」
と思う人のためにも説明しておこう。
そもそも決闘とは、2人以上の人物が事前に日時、条件、場所などを約束して戦うことだ。喧嘩との違いは、あらかじめ喧嘩を行う約束がされていることで、暴行との違いは、決闘を受ける側・挑む側どちらも戦うことに同意しているということである。
お互いが合意の上で行う喧嘩。それを決闘と呼ぶわけだ。
さて、問題の足立区の決闘はどこでどんな人間が行ったのだろうか。
驚くべきことに、決闘を行ったのは当時16歳の少年2人だった。
内容はこうだ。
荒川区のA君(16歳)は交際していたB子さんのことをSNS上で悪く言ったという足立区のC君(16歳)に対して、SNSでタイマン……つまり決闘を申し込んだ。
きっかけも、決闘の申込みもSNSというのが現代っぽい。(笑)
仲間やC君と面識のあったB子が仲裁に入ったものの、後戻りはできなくなった2人は決闘の日を迎えてしまう。そうして、荒川の河川敷で決闘は行われることとなった。
決闘前に「武器はなし」「ギブアップしたら負け」「怪我しても被害届は出さない」などのいくつかルールを決めたらしい。
その中に「顔面はアリ」というのもあったらしい。
いや、ドッジボールじゃないんだから(笑)
彼らはSNSでの交流はあっても喧嘩相手と顔を合わせるのは今回が初めて。
どんなにわき起った怒りの炎も、時間が経てば鎮火気味になる。
おそらく本音ではタイマンなんてやりたくなかったのだろう。A君としてはC君に謝ってもらえればよかったはずで、C君も「ごめん、言い過ぎた」でよかったはずだ。
そんなこともあってかだろうか。お互いに決闘開始のタイミングをつかめずにいた。
しかし、そんな2人に対して開始の合図を送ったのは誰であろうか仲間たちであった。仲間たちによる「始め」の掛け声のせいで、のぞまない(?)決闘は始まってしまった。
……仲間ひどくない?(笑)
A君 VS C君の決闘が始まってしばらくたった頃だろうか、通行人からの通報により警察が駆けつけた。C君が取り押さえられてる間に、A君をはじめお互いの仲間は逃げだした。
……いや、だから仲間ひどくない?(笑)
だがしかし! ここからが青春のなせるわざ。
なんと、一緒に逃げているうちにA君の仲間もC君の仲間も仲良くなってしまい、一緒にゲームをしたり、遊んでいたとのこと。さらに警察から解放されたC君も合流しA君と仲直りしたという。お互いに初めての喧嘩であったことを告白し、A君とC君は固い友情を結んだそうだ。
殴り合って友情が芽生えるっていうのは、まさにこのこと。マンガの中でしか起きないようなことって現実にも起きるものなんだな~。と感心する。
そんな出来事が起きる足立区はやっぱりおもしろい。
ちなみに日本を代表するラッパーのANARCHYさん(単語の意味は無政府状態、無秩序)も決闘罪で逮捕されている。
ANARCHYさんが決闘罪で逮捕されたのも16歳だったというし、16歳は決闘したくなるお年頃なのだろうか。
当時、決闘罪の適用は日本で3例目であったことから、父親から「お前スゴイな!」と言われたという。そんな風に言える父親もスゴイ。(笑)
社会で生きてればものすごいムカつく奴がいて、決闘してでもぶん殴りたくなる時もきっとあるでしょう。(私は温厚なのでありませんが、はぁーと)
ただ、喧嘩はダメ絶対。
それでもぶん殴りたくなってしまうそんなあなたのためにANARCHYさんの『Where We From feat.T-Pablow』の歌詞から、1つ金言(パンチライン)を授けましょう。
動画40秒頃のパンチライン。
「喧嘩売る前に己に勝て」
…
……決闘を超えた男の言葉は重い。
おっと!
「自分も喧嘩売っていたんじゃないの?」というツッコミは野暮だぜ?
過去を超えてわかるものがあるんだぜ? ベイベー。
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