サブカル大蔵経716『船木誠勝のハイブリッド肉体改造法』(ベースボールマガジン社)
パンクラスは、秒殺と、この本を残した。
総合格闘技の黎明期の1996年発行。総合の過去と現在と未来を予言した一冊。
今あらためて読んでみると、船木のマッドとサドが文から所々噴き出ていています。
まず、自分がモルモットになって肉体改造を試み、そして成功しました。p.1
冒頭からなんとなく物騒なワード。強制はしないが、みな追従して、最後に鈴木みのるがやり方を聞いてきた、とのことです。
UWF〜藤原組時代の船木の肉体p.23
脂肪にこだわる船木。脂肪による〈プロレスの受け〉の概念を持たないパンクラス。既存のプロレスからの訣別を脂肪断ちと宣言した唯一の団体。
しかも常にイライラしていた。練習生にあたって、怪我をさせたこともあった。よく、前田さんにも「練習生を怪我させるな」と注意を受けたものだ。これは、食生活のイライラからきていたと思う。p.24
新日時代、寮での数々のイタズラも食生活が原因だったのでしょうか。
開始して同じ運動を20分以上やらないと意味がない。p.49
プロレスファンに有酸素運動という言葉を植え付けてくれた。
プロレスの団体で鶏肉を使うのは珍しいと思う。だいたいが豚肉なのだ。p.62
史上初の鶏肉団体。でも、相撲部屋のチャンコは四本足は手をつくということで、二本足の鶏肉が多いと聞いてましたが…。プロレスは手をついてもいいから、力道山が相撲からの決別を意図する為に豚肉にしたのでしょうか…?
タンパク質を多量に取ると言う事だから、肝臓に負担がかかるのだ。p.82
船木が広めたササミとプロテイン。現在コンビニの棚にあふれるザバスやサラダチキンを見ると、船木の思想が根付いたと感慨深いです。
抜いた力で押さえていれば、自分の体の下で相手を今コロコロとコントロールできる。つまり、相手が勝手に回転している状態なのだ。もちろん自分は相手にくっついている。ヒクソン・グレイシーのやっていることがそれなのだ。p.159
自らの敗北をこの時点で予言していた。
ハッキリ言って、打撃と組み技を一緒にやるという総合格闘技自体が、使う筋肉も違うために、全く矛盾したものなのだ。p.181
ハイブリッド。総合の誕生と困難さがこの一言に表されていました。
[企画・構成]安田拡了 p.198
ベースボール・マガジン社のベストセラーとなった本書。週プロのフリーランスの記者、ヤスカクの当たり本でもあります。