サブカル大蔵経108 藤子F不二雄『ドラえもん』0巻(小学館)
私はドラえもんと同じ9月3日が誕生日で、今年同じく生誕50周年を迎えます。ドラえもんと共に生きてきた人生でした。昨年初めて川崎市の藤子Fミュージアムにも行ってきました。その時、ドラえもん掲載誌の学年別原画展が開催されていました。それが今年『ドラえもん』ゼロ巻として発刊されました。
50年目の新たな単行本。久々にドラえもんを手に取って読んだ大人も多いと思われます。私も懐かしさとともに、パラレルワールド的な底知れぬ不思議さ(S・F)を感じました。今回50年目にして封印を解かれた作品群とともに、藤子F不二雄・藤本弘先生の、絶後の異能性が世にご開帳されることになったのかもしれません。
藤本弘先生がオバQの後、スランプで少年誌に掲載されなくなり、学年誌でしか連載されなくなった歴史背景を知って読むと、幼稚園から六年生まで、のび太やしずかの体型まで描き分ける凄まじい作家の業が顕れてきます。
そして時代遅れだと揶揄され期待されなくなっていた故なのか、セリフの残酷性にルサンチマンを感じます。それがちょうど子供のもつ残酷性と重なり真に迫ります。ドラえもんという存在がメジャーなアイコンとして世界に拡がる中で、実はその奥底に潜むアナーキー性こそサブカル大蔵経の一冊にふさわしい王道といえます。
このどらえもんをあげる。
いらないよ、そんな もの。『幼稚園』
スネ夫に付き添う鼻垂らしジャイアン。
おとうさんおかあさん あまくてぜったいにのび太をおこらない『小学三年生』
「愛妻ジャイ子⁈」小3第2話
セワシの子分、ドラえもん(のび太の見はりやく)イヌとネコのできそこないロボット。p.68
「よう野比くん。あいかわらずしけたかおしてんじゃん。」(ジャイ子)p.75
「ハイキングに出かけよう」(ドラミ初登場)『小5第1話』
「オメグミクダサイ。」p.89
小六第1話は、石ころぼうし!p.119
トラウマ級の衝撃巻。