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映画の話

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#コンテンツ会議

ストーリー・オブ・ザ・イヤー 2021

 そういうものをやる記事です。規定は緩く、創作物として発表された物であれば何でもあり。範囲は前年分の翌日2020年12月30日から記事投稿の前日2021年12月30日までに、私自身が触れた作品とします。よろしくお願いします。 ストーリー・オブ・ザ・イヤー2021  ベイビーわるきゅーれ (映画/監督:阪元裕吾/劇場鑑賞)  まず明記しておきますが、本稿の半分は映画の話です。興味を向けることが習慣化しているというか、基本姿勢として映画館で見る行為が好きなんだと思います。仕方

ストーリー・オブ・ザ・イヤー 2020

2020年1月1日から12月29日までに触れた作品で、特に心に残った10選を記録する記事です。 過去二年はその年に見た映画を振り返っていたのですが、今年はまとめて遊べるほど映画を見に行かず(2019:84本→2020:41本)、といって総括無しというのも落ち着かないので、趣向を変えて広くストーリー=創作物でやることにしました。こちらの記事の真似です。 間口を広げつつ本数を絞ることで書きやすくなるという寸法だ。レギュレーションも丸パクリしつつ、何でもありな感じでやります。

美しい接続/おまえは『レヴュースタァライト』でキラめきを再生産する

お前には夢がある。目を落とすな。「でも……」でもではない。それは常にある。お前がどこでどう生まれようと、どう育って今どうしていようと全く関係ない。お前の瞳の奥、赤い血の通う体の中心には夢という光が必ずある。人によって違うとすれば、その光が強いか弱いか、いまキラめいているかどうか。つまり……『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト 再生産総集編 ロンド・ロンド・ロンド』によって、キラめきを取り戻す前か後かだけだ。 あらすじ 『舞台少女』――それは未来の舞台女優を目指す、キラ

2019映画鑑賞ログ

 時期です。2019年に劇場で観た映画83本から、特にめちゃくちゃ死ぬほど生きるほど刺さった作品の話をします。  多分に漏れず俺はまあまあすごい量の映画を観ているが、やはり多分に漏れず誰にも感想を伝えるつもりはない。が、人様のそういう記事を読むのは好きなので、やることにした。内容に頷いたり間抜けを見る顔で肩を竦めたり、心のウォッチリストに加えたりしていただければと思います。 とにかくオススメスパイダーマン:スパイダーバース  迷うことなく2019年ベスト。別格。むしろオー

なつやすみ自由研究:3つの逆手から読み解く『ナラーバーニンフ』

はじめに 本記事は映画の感想文ではなく、オススメ作品として紹介するものでもありません。独自研究です。記事内すべての情報に正確性の保証はなく、映画本編を鑑賞することでお前が受ける精神的・肉体的負荷に対して一切の責任を負いません。自由研究だからです。 2019年夏、一人の勇敢な戦士が無限の荒野から探り当てたホラー・コメディ映画『ナラーバーニンフ』。みなさんはご覧になられましたか? もう見た方、お疲れさまでした。荒野の66分を生き延びた同胞として、本稿が作品鑑賞をより良い思い出

『シング・ストリート』については多くを語る必要がない

 なぜなら映画『シング・ストリート 未来へのうた』(2016、アイルランド、105分、"Sing Street")はいつの間にかプライムビデオ対象に含まれていたため鑑賞が容易であり…… ……そして作品の雰囲気を完璧に掴める動画が存在するからだ。 あらすじ:1985年、大不況のダブリン。人生14年、どん底を迎えるコナー。父親の失業のせいで公立の荒れた学校に転校させられ、家では両親のけんかで家庭崩壊寸前。音楽狂いの兄と一緒に、隣国ロンドンのMVをテレビで見ている時だけがハッピ

最適解連発! 超効率的攻略プレイ映画『ハンターキラー 潜航せよ』

潜水艦映画。君はこの言葉にどんなイメージを抱くだろう。 閉塞感、人間関係の歪み、息詰まる心理戦、兵士たちの悲壮な覚悟、戦争の無情、隔壁の向こうに取り残される仲間、なんか暗い画面、根拠のよくわからない勝敗、ろくに見えないので良いとも悪いとも言い難いCG……『ハンターキラー 潜航せよ』にこれらの要素は存在しない。物語を進める上で邪魔だからだ。 (あらすじ) ロシア近海で米軍原子力潜水艦が消息を絶った。米軍は空路から極秘偵察部隊を、海路からはジョー・グラス艦長(ジェラルド・バト

『スパイダーマン:スパイダーバース』で感情の容量を超えた話

『スパイダーマン:スパイダーバース』を観まして。 もう最高に刺さりまくりで、オールタイムベストというか、自分の映画鑑賞履歴に一段上のランクが生まれてしまった感じです。生きててよかった。 で、ここまで刺さったからには長文行為オタクの端くれとして諸氏に習って説得力ある記事を書きたい、僕も説明したい……のですが、感情に深く刺さりすぎて整理できないんですね。作品の良さが処理能力を超えているので語彙が死んでいます。そのうえネタバレも回避しようとするともうお手上げ。なので今回は感情を

『ラブライブ!サンシャイン!!The School Idol Movie Over the Rainbow』に二度ぶちのめされた話

2019年1月4日から全国劇場上映されている『ラブライブ!サンシャイン!!The School Idol Movie Over the Rainbow』非常に面白い映画でした。 テレビアニメの劇場版である本作は観客に多大な前提知識を要求する(冒頭のおさらいコーナーとかもない)完全に既存ファン向けの作品なので、読者諸氏に対して一律に紹介・おすすめするというのは筆者の手に余ります。無理は分かっているんですが、ちょっとだけ書きます。 なぜか。『ラブライブ!サンシャイン!!The

『フリー・ファイヤー』について話しておく

『フリー・ファイヤー』 それは人と人が90分間撃ち合って死ぬアクション映画だ。イギリスで製作され、2016年に公開された。 特にいま安く見れるのかとかは知らない。人に見てほしい映画の話をする以上はアマゾンプライムとか手段が用意された状況が良いと思い待っていたが、未だその時は来ない……。もううんざりだ。どうしてメガコーポの顔色をうかがわなきゃならない? いつかもわからない機会を待ちつづけて好きな映画の話もしないまま死ぬなんて馬鹿げている。そんなのはごめんだ。 「もとより俺の

怪作霊能力バトル映画『来る』の話

全国3億人の霊能力バトルを愛する皆さんこんにちは。本稿は2018年12月7日公開映画『来る』の鑑賞をお前に勧めるものだ。ネタバレは一応避け無粋な考察なども書かないが、完璧に防ぐことなどできるはずがない。だからそういうのは各自で気をつけて欲しい。俺はお前が『来る』を観さえすればそれでいいのだから……。 とはいえ。怖いかどうかは個人の感覚としても、血が出たりいろいろ出たりするPG12作品なのであまり声高に薦める気はありません。気分が悪くなるのを我慢してまで観るような映画は存在し