「病識」必要ですか?〜「やるかやられるかの世界」の研究〜
夫が統合失調症の診断を受けたのは、20代の頃。
被害妄想などで入退院を繰り返していたそうです。
私が夫と結婚したのは、4年ほど前。
二人ともバツイチ同士で再婚したのですが。
出会った頃は、特に症状は無いと言っていた夫。「もしかしたら、統合失調症じゃないのかもしれない」なんて言っていました。
電車に乗ると、周囲の視線が気になるなどは言っていましたが、そんなことは健康な人でもわりとあることだし。
私も「確かに誤診かもなぁ」なんて思ったりしていました。
しかししかし・・・。
ある日「電車に乗ると、個人情報を抜き取られて、LINEとかで拡散されちゃうじゃん。大変な世の中だよね、まったく。」と夫。
「え???」て聞き返して。
夫も「え???」て。
「いや、だからさ。皆、攻撃受けて大変だよね。」
・・・皆って? 攻撃???
よくよく話を聴いてみたら。
自分だけでなく、皆・・・。
つまり私も周囲からいろんな攻撃を受けているらしいのです。
電車に乗っていても、街中を歩いていても、職場でも。
「悪の組織」のようなものがあって、様々な攻撃をしかけてくると・・・。
いやいや。
悪の組織なんていないよーーー。
いや、悪い人たちは確かにいるけれど。
スマホに特殊な装置がついていて。
それを向けると個人情報が抜き取られるとか。
そんなことはないよーーー!!
私はそんな世界に住んでいないことを告げると、
夫は「えー!うそだー!」て・・・。
でも、私が否定しても、怒りはしなくて。
二人で、いったい私たちに何が起きているのだろう・・・と、対話をしてみました。
それが私たちの当事者研究の始まりです。
当事者研究とは
「当事者研究は、統合失調症や依存症などの精神障害を持ちながら暮らす中で見出した生きづらさや体験(いわゆる“問題”や苦労、成功体験)を持ち寄り、それを研究テーマとして再構成し、背景にある事がらや経験、意味等を見極め、自分らしいユニークな発想で、仲間や関係者と一緒になってその人に合った“自分の助け方”や理解を見出していこうとする研究活動としてはじまりました。」
引用:当事者研究ネットワーク
当事者研究とは-当事者研究の理念と構成- (向谷地生良)
https://toukennet.jp/
自分が苦労していることを、研究テーマとして外在化し、
自分の助け方を見出していくプロセスが当事者研究です。
私たち二人の当事者研究は
「病識」必要ですか?
~やるかやられるかの世界の研究~
今年3月に開催された、第16回日本統合失調症学会の一般演題で、発表しました。
その後も夫は、
自分の「やるかやられるかの世界」を、文章にしています。
自分の体験を書くことが、楽しいようです。
またどこかで、発表できる機会があるといいなと思います。
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