現代の逆転?:ハーバードの教授、西麻布のシェフ、そして私
1.この夏は私もハーバードの学生。
(…Facetimeの呼び出し音)
ーもしもし。
こんにちはー。
コイさん先週末も休みなしだったね。
ーぐんなり。落ち着いたら旅に出る。
いっつもそんなこと言ってるきがするけど笑。
ー部下にも「探さないでください」って言う。
スミさんは長い長い夏休みの始まりですか。
そうですよ!アメリカはデモですごいことになってるけど…
そういえば、自己を律するために、新しいこと始めた。
ーあらえらい。
コイさん、「edX」って知ってる?
世界の色んな有名大学が提供してる講座を、オンラインで無料で受けられるプラットフォーム。
ーへえー、知らなかった!
他にも「Lynda」とか「Coursera」とか、今色々あるんだけど。
コイさんの母校、ハーバード大学も授業提供してますよ!
ーほほう。スミさんは何とってるの?
いろいろやってるよ。とりあえずこんな感じ。
・ペンシルバニア大MBA「カスタマーコネクション戦略」
・ハーバード大 「都市の過去・現在・未来」
・ハーバード大 「契約法:信頼、約束、契約」
・精華大 「UXデザイン」
ー面白そう。おれもカスタマーコネクション学びたいわ。笑
ちゃんとシラバスや課題もあって、動画で授業うけるんですよ。
(図はHarvardX: CitiesX: The Past, Present and Future of Urban Lifeより)
ーいいじゃない。それにしてもタダっていいね。
でしょ。
でもタダで解放する気持ちも、わかる気がする。
2.ハイクラス客だけは飽きた。
ーうん?
トップ大学で教授やってたら、一握りの選ばれし生徒にしか教えられないじゃないですか。
edXで授業を解放すれば、全世界に届けられる。
ーそうだよねえ。
ハーバードの契約法の授業なんて、37万人も受講者いるんですよ。
ーすごいね。まあ、有名教授みたいに成功した人達は、社会貢献したくなるのかも。
西麻布の高級な板前さんが、20年働いてみて「もっと色んな人に自分の料理を食べさせたい」ってリーズナブルラインを始める、みたいな。
ーなるほど笑。
しかし、トップ大学以外の多くの大学は、脅威も感じてるだろうね。
どういうこと?
ー一流大学の授業を、オンラインで安く簡単に皆が受けられるようになるじゃない。
はい。
ーそうしてTier1のすそ野が広がると、Tier2の大学は、今まで別の土俵だった大学達とも戦わないといけない。
確かに。
しかもオンラインで裾野が広がると、リアル授業の「限定商品」感が増して、一流ブランドは余計プレミアムが増しそう。
3.高名な権威、普通の人の逆転…?
ーそれもあるね。
あと、edXの話聞いてて思ったんだけど。
はい。
ー最近は、高名な権威より普通の人の方が、社会とコンタクトを多く持ってる、みたいな逆転が一部起こってる気がするよ。
と、言いますと?
ーハーバードの教授は、限られた生徒にしか教えられない。
逆に、普通の人が書いたnoteが、いろんな人に読まれたりする。
そうですね。
著書が何万部も売れることは稀だろうけど、SNSの投稿で何万アクセス!って全然あるし。
ーそうそう。
でも逆のこともあると思いますよ。
ーほう?
たとえば「edX」には本当たくさんのコースがあって選びきれない。
だから、結局は有名な大学でソートしちゃう。
ーなるほど。
選択肢の幅が広がった結果、選ばれる選択肢は狭まっていく、みたいな。
そうそう。「権威」とか「ブランド」みたいなエスタぶった価値がますますあがりますよね。
ーそれはそうだね。
その一方で、無名なんだけど、自分にとって本当に良い講座が埋もれちゃう、ってことが起こるなあって。
ーそこがレコメンデーションとか、テクノロジーの腕の見せ所になると思うけど、世間の評判が基本の選択基準になるよね。
そうそう。あ、世間の評判といえば。
コイさんが忙しかったし、この前独り言を呟いてみたら嬉しいお知らせがきましたよ!
ーすごいじゃない!
おれにもアカウント教えてよ、読みたい。
嫌です、秘密です笑。
ーなんでよ。笑
・・・はー、じゃあ今週はしんどいけど、そろそろ行ってきますよ。またね。
がんばって!しーゆー。
ーはーい、しーゆー。
(…Facetime終了)
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★参考文献★
「edX」 https://www.edx.org/
「Coursera」 https://www.coursera.org/
「Lynda.com from Linkedin」 https://www.lynda.com/
Podcast "RECODE DECODE" Great dispersion