子どもに「ごめんなさい」を言わせない、アメリカの保育園
以前、アメリカ人は、「ごめんなさい」と言った相手に、間髪入れずに、「ごめんなさい(ソーリー)って言わないで!」ときっぱりと返答する人が多い、という記事を書きました。
今回は、子どもについて、考えてみました。
アメリカ式の謝罪
3年前にモンテッソーリ保育園で働き始めて、子どもたちが、「ごめんなさい」を言わない、ということに驚きました。(ちなみに、ごめんなさい、だけでなく、ありがとうも言わない。)
観察してみると、どうやら、どの先生も、子どもに「ごめんなさい」を強要していません。
例えば、ある女の子が他の子の作っていた絵を破って床にまいたときのこと。
「どうして絵を破いたのか?」「彼女は一生懸命作っていたのに、自分が同じことをされたらどう思う?」などと、じっくり聞きだしていました。
その後、謝らせるのではなく、「あなたの気分を良くさせてあげるには、自分は何ができるか?」とたずねるようにうながしていました。
日本では、子どもがするかしないかは別として、両親や先生から「ごめんなさいは?」と言われる気がする、という話を主任のベテラン先生にしました。
すると、「この年齢(2歳半から5歳)の子どもたちには、ソーリーと言わせるのはまだ早い。自分がしたことが悪かった、相手にどうフォローすればよいか、ということをまずは理解させるのが先。
そうでないと、例えば人を殴って、まったく悪いと思ってないのに、ただ口先だけで「ソーリー」と言ってすませる、ということになってしまう。」
とのこと。
さて、つい先週も、5歳半の女の子が走っていて、他の子にぶつかってその子が作っていたブロックを壊してしまったとき、「ソーリー」と言ってその場を立ち去ろうとしました。
そのとき、先生が、「え?ソーリーって言うだけで、終わり?どうやってフォローできるかちゃんと〇〇ちゃんに聞きなさい。ソーリー言うだけじゃ、何の意味もないでしょ!」と、かなりしっかり伝えていました。
ちょっと話はずれるのですが、この辺の、「わたしはあなたに何ができる?」と、相手にしっかり聞かせる。
相手が2歳半であっても。
そして「何をして欲しいか?」を聞かれた相手は、返答することを要求される、というのも、アメリカっぽいのかしら、と思ったり。
返答パターンは、大抵、①スペースが欲しい(どっか行って!) ②(たたかれたりした場合は)アイスパックが欲しい ③ハグ
この中から、2歳半の子も、自分の言葉で回答しなくてはならないのだ。
少なくとも、大人が気を利かせて、何も言わずにアイスパックを渡す、ということはあり得ない。
アメリカと日本の違いについて考えてみた
日本との違いを考えてみると、
日本だと、迷惑をかけた相手に「わたしに何をして欲しい?」とずばっと聞くより、「相手がどうして欲しいかを、あなたがくみ取りなさい」という社会な気もする。
あと、謝る場の違いとして、日本では、「自分は悪いと思ってないけど、結果的に相手に迷惑をかけた場合には謝る」という社会なのかも。
アメリカは、自分に迷惑がかかったとしても、相手が悪くない場合には、「あなたは悪くないのに、謝らないで!」と言う社会、なのかな。