見出し画像

[OldCityBoy的「映画」考察] カッコーの巣の上で(1975) ➡患者の人間性を抑圧するように見える婦長は本当に悪なのか?

覚醒系コンテンツの超名作で、若い方にぜひ見ていただきい作品です。

この作品に関しては、もはや語られつくされていると思うので、自身からは少し違った視点から記載しますね。

この映画にて、看守や精神病院側(特に婦長)が、患者の人間性を抑圧する悪のように見えますが、

"患者を安全に管理し、社会復帰を促す職務・責任を遂行する"

と観点から言うと、実は彼らは何一つ悪いことをしていないんですよ!


具体的に、

まず、視聴者がまずイラっとくるグループセラピーの場面です。

自身のトラウマを皆の前で発表させて、患者の傷に敢えて塩の塗るようなことさせて、なんて残酷なんだ!そんなセラピーじゃなく、主人公が提案するような娯楽で楽しい時間を皆で過ごす方が、よっぽどいいじゃないか!

と思いがちですが、あのセラピーは、

  • 自身のトラウマを言語化することで、そのトラウマを客観的に捉えられるようにする。

  • 他と共有することにより、他者の捉え方を学び、より客観的に自分の問題を捉える力を養わせる。

  • 客観的に捉えられれば、自己と問題をある程度分離でき、病気の回復につながる。

が、狙いです。

もちろん、娯楽は悪くないですが、これは一時的につらさを忘れさせる効果しかなく、病気の根本解決にはならいないですよね~(トランプ等の娯楽は与えられてるし)。

次に、施設を脱走して海で楽しむシーンですが、これも上と同じで、根本解決にはならない、かつ、依存症の方もおられるだろうから過剰な娯楽を与えると逆影響なこともあるんですよ。

最後に、若者が追いつめられて命を絶ってしまうシーンですが、婦長は状況を目撃したときに感情が抑えられず、その若者の母親のことを口走ってしまいますが、それはこの若者を回復させることに強い責務を感じている立場からみると仕方がないことですし、母親に言わないでほしい!、という懇願に対して、婦長は、母親にチクる、とは全く言っておらず、実際は何も言及していないんですよ。

この婦長にとっての最優先事項は患者の回復なので、母親への共有が患者に悪影響を及ぼすと判断したならば言わないはずなのです。が、なぜかその若者の命を奪った犯人扱され、とても危ない状況にあいますが、実は婦長が逆恨みされるのは筋が違うのです。


というわけで、婦長が悪、として見られがちですが(自身も若いころはそう見えた)、実は、主人公がシステムを暴走させる悪、とも言えるのです。

よって、異物が混入した免疫システムにおける正常な排除反応、を精神病院を舞台に描いた作品とも言え、ごみひとつない過剰に綺麗な病院に、少し汚らしい恰好+ジャック・ニコルソンの違和感あふれるキャラの主人公が混入する、という観点から見ても楽しめる映画ですよ!


#おすすめ名作映画 #映画感想文 #映画 #映画レビュー #映画感想文 #映画感想 #note映画部 #映画鑑賞 #映画評 #映画好きな人と繋がりたい #おすすめ映画









いいなと思ったら応援しよう!