[OldCityBoy的「映画」考察] 八十日間世界一周(1956) ➡カラー映像なる技術革新により、今後の映像表現が変わることが確信できる映画
Wikiによると、日本で海外旅行が一般に普及したのは1964年以降だそうです。よって、この映画が公開された1956年当時は、日本だけでなく世界でも海外を旅行するなんて夢のまた夢だったように思われます。
ただし、海外の情報は入ってくるはずで、
・ロンドンの近衛兵な風景
・パリの風景
・スペインのフラメンコ・闘牛
・アジア・インド・中国・日本の風景
・アメリカの風景・インディアン
のような今も観光の目玉となる上記は皆憧れたものと思われます。
そんな皆の憧れを、当時の最新技術であった大画面スクリーン、かつ、オールカラーで、旅行よりも全然安い映画で叶えてしまおう~、な映画です。
そして、ただ叶えるのではなく、映画的にもとても楽しめ、そしてお洒落で、所謂"罪のない"コメディです。
自身としては、この映画は、映画史において、これ以前・以後、と語られるターニングポイントとなったのではないかと思います。
具体的には、カラー映像の使い方です。
この年以前にもカラー映画はありますが、せっかくなので白黒をカラーにした、という印象がありますが、この映画は、カラーでしかできない表現を行った、がターニングポイントになった理由です。
と言っても、特に複雑なことをしてるわけでなく、風光明媚な景色をそのままカラー・大画面で表示した、になるのですが、これってカラーじゃないとできなくないですか?
よって、この映画では、色彩そのものを映像表現する、にどストレートにチャレンジした映画、とも言えるのです。
そんな意図もあり、映画の中で狭いスクリーンで白黒な(そして無声な)"月世界旅行"をわざわざ流し、その対比として、ワイドスクリーンでカラーな(そして有音な)映像を流し、技術の進歩を存分に活かした映像表現であることを高らかに宣言したのです。
と言いつつも、映画の父であるD.W.グリフィスが発明した古典手法もきっちり使っているところがなんともにくいのですが、映画人であればカラーを使うことを改めて気づかされたはずで、この後の映画考察が楽しみになった映画でした~。