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[理系による「映画」考察] ピグマリオン(1938) ➡神話をモチーフとした高尚な映画に見せかけて、本質は夫婦漫才、のラブコメ映画
上記な神話をモチーフとした高尚な映画に見せかけて、本質は夫婦漫才、のラブコメ映画です。 変わり者の学者が女性を洗練させるための英才教育を施しているうちに、いつの間にかその女性に恋をしていた、というストーリーですが、ラストの学者と女性の掛け合いが見どころですかね。 が、夫婦漫才に日常的に触れており、無意識にその領域への鑑賞眼が肥えてしまっている日本人には、その掛け合いの間があまりよくなく感じる(早すぎる)かもしれないです。 ちなみに、この映画を見てすぐに思い起こされたのは
[理系による「映画」考察] 赤西蛎太(1936) ➡お笑いの"天丼"(ボケを繰り返すこと)と"間"を多用する落語的傑作映画
よくある時代劇的なやつに歌舞伎っぽさを加えた映画かな、とあまり期待せず観たのですが、全く異なり、"知的に人を笑わせる"という分野における傑作でした! まず、全体的なバックグラウンドは落語にあると思います。按摩の安甲の演技自体はそのまま落語家ですし、江戸時代を舞台とした人間味あふれる創作ストーリの中にお笑いを混ぜてくるところが、落語の映像化を試みた作品とも言えます。で、実際、落語で笑ってしまうのと同じ笑い方をしてします。ここで言う、"落語で笑ってしまう"、とは比較的長いストリ
[理系による「映画」考察] 或る夜の出来事(1934) ➡理系の天敵"ラブコメ"だが、大傑作で完敗。あまりの素晴らしさに最後は拍手してしまった...
理系の天敵"ラブコメ"ですが、完敗しました。敗因は脚本です(アカデミー賞主要5部門ですべて賞を取っているので、あくまで個人の感想です)。 理系の能書きを垂れると下記になります。 後半モーテルでの、"海に飛び込むのが好きな女の子"、に対する、初っ端の綺麗なフォームによる海への飛び込み、による回収。 終盤の、"彼女には殴ってくれる相手が必要だ。あなたがやるべきだった。"、に対する、初っ端の親父さんの平手打ち、による回収。 しかし、なんと言っても素晴らしいのは、最後の、"ジ
[理系による「映画」考察] グランド・ホテル(1932) ➡群像劇多重構築(映像的キュビズム)成功の理由は個別の劇にテーマを与えなかったから
にくい!、うまい!、やられた!、 と唸ってしまうぐらい良く出来た映画です。 ホテルを舞台に、異なる人々のうつろいゆく営みを重ねながら1つの作品として成立させる"群像劇多重構築(映像的キュビズム)"に成功した希代のコメディ作品ですが、論理的な側面だけでなく、"常ではない"という意味での無常感から来る寂しさもちゃんと要素として組み込んでおり、それを意図するために舞台としてホテルを選んだところが、なんともにくいです。 で、表題の"群像劇多重構築(映像的キュビズム)"に関してです
[理系による「映画」考察] 上海特急(1932) ➡マレーネ・ディートリヒの妖艶さはクラナッハ作品をアメリカナイズしたもの
"上海特急"自体を一言でいうと"大人のラブコメ"なので、映画考察はここまでとして、今回のテーマは"マレーネ・ディートリヒ"の妖艶さはどこから来ているのであろう?、になります。 で、Wikiを見たことろドイツ人ということが分かり、ピンときました。怪しくセクシーな女性を描かせたら世界一のクラナッハさんからです。 クラナッハが活躍したのは1500年代初めで、それから400年経っており、かつ、アメリカ映画のスターなので、直接的な形で分かるわけではないですが、見出し画像から雰囲気と