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[映画]記事を年代順にまとめたもの
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2023年11月の記事一覧

[理系による「映画」考察] 首(2023) ➡死も衆道もお笑いにする北野武

北野初期作品のようなアート性はあまりないですが、2時間があっという間に過ぎたお笑いエンターテインメント映画でした。 全体的に絵がちょっと安っぽかったのが残念でしたが、脚本はとっても良かったので、その内容を中心に考察しますね。 まず、表題の"お笑い"に関して説明する必要があり、記載します。 人が笑う状況の1つとして分かりやすいのが、緊張と緩和、になります。もう少し具体的に説明すると、緊張状態において急激な緩和が起こると人は笑います。例えば、とても重い空気の会議の場で偉い人が

[理系による「映画」考察] ゴジラ-1.0(2023) ➡"シン・ゴジラ"の後ゴジラを作ったことに賛辞を贈る

冒頭からカッコよく、2時間があっという間に過ぎる、とても見やすい映画でしたよ。 で、自身が賞賛したいのは、映画の内容よりも、"シン・ゴジラ"の後にゴジラを映画として作った山崎貴監督の勇気、になります。 "シン・ゴジラ"と比較されるのはもう明白で、庵野監督と比較されると思うと自身だったら絶対にやりたくないです…。それでもやり切った山崎貴監督に賛辞を贈りたいのですが、さらに、ヒットさせるために庵野さんに試写会でみてもらって、その後の対談をyoutubeで流すということまでやり

[理系による「映画」考察] 欲望という名の電車(1951) ➡女優を極めると大妖怪に...

1951年のアカデミー賞は"巴里のアメリカ人"で、それを見ようとしていると、そんなんいいからヴィヴィアン・リーを見るべし、と妻から勧められ、2度目のアカデミー主演女優賞作品ということで、女優として、"風と共に去りぬ"、以上に何かありうるのかしら?、と思ってみていたのですが、 妖怪っぷりにさらに磨きがかかってるやん!!! しかも、クラーク・ゲーブル級の相手役でなくても物語をエンタメにできるまでレベルアップしており、マーロン・ブランドが妖怪に立ち向かう勇者にしか見えない始末(

[理系による「映画」考察] 羅生門(1950) ➡キュビズムで映画を作り上げる芸術家、黒澤明

黒澤明が世界的に評価された初めての映画です。 で、黒澤明の映画を見て思うのですが、黒澤明は、 ・技術進化により演劇を映像表現にする な位置付けで映画を作っている気がせず、 ・絵画を映像表現に落とし込む な意図で映画を撮っている気がするのですよね。 なぜなら、黒澤映画をどのタイミングで一時停止しても、 あ、黒澤明だ! と分かってしまう絵になってるんですよね。 で、本題の"羅生門"ですが、個別の絵も濃いですが、それよりもここで語りたいのは、 映画をキュビズム的に作っている、