マガジンのカバー画像

アート・カルチャー

87
アート・カルチャー記事 をまとめたもの
運営しているクリエイター

#芸術

[OldCityBoy的「アート」鑑賞] 絵画に演出を初めて持ち込んだ"ジョット"の偉大さ

"ジョット"ですが、「西洋絵画の父」ともいわれている偉大な画家のことです。 が、何が凄いのか分かりやすく説明されたものをみたことが無いので、自身がそれを試みますね。 自身は"ジョット"のことを、絵画に演出を初めて持ち込んだ人、の認識しています。よって絵と言うものは、ジョット以前・以後に明確に分かれるのです。 具体的に、ジョットの時代の絵画といえば宗教画ですが、ジョット以前では、極端なことを言うと"単にヒトを描いただけ"の絵なのです。 が、ジョットはそこに演出を持ち込み

[OldCityBoy的「アート」鑑賞] 美術をお洒落に演出する東京ステーションギャラリーのうまさ

"みちのく いとしい仏たち"展に行ってきました。 が、今回考察するのは、この展来会ではなく、 東京ステーションギャラリーの演出のうまさ、 に関してです。 この美術館、キュレーション(展示の演出)、が、お洒落で・とても今っぽく・うまいんですよ! 例えば、この展覧会で展示されているのは"木喰"という仏像で、一般的な美術館は"木喰展!"とするはずなんですよね~。 が、東京ステーションギャラリーは異なる演出をするのです。 何が一般的な美術館と違うかというとと、下記になります

[理系による「アート」考察] 東京国立博物館にある"椅子のある風景"

働き始めて少しお金に余裕ができ始めると、おしゃれな家具が気になりCasaを読み始めるのは、あるあると思います。 自身もご多分に漏れず、イームズや北欧家具を購入したりしていたのですが、空間全体をお洒落にするには家具だけでなくインテリア全体に気を使う必要があり、それはそれで楽しいのですが、 子供が小さいと無理!!! ということで、ほぼほぼ処分しました。 それ以降は、美術館やパブリックスペースで設置してある風景を鑑賞する方が好きになりました。 鑑賞ポイントとしては、"椅子

[理系による「アート」考察] ロダンの"地獄の門"って、実は"生命の誕生"がテーマでは?

上野の国立西洋美術館敷地内にある"地獄の門"ですが、しみじみ見ていると、どっかで見た印象に近いなー、と思って記憶をたどると、"シン・ゴジラ"のラストシーンにて尻尾から出てきそうな人間の形をした新しい生命体、でした。 それを意識して再度よくよく見ていると、この"地獄の門"って、原罪としての"生命の誕生"、がテーマなような気がしたので考察しますね。 まずは、この門って両隣にアダム像とイブ像があるんです。 で、アダムもイブもこの門を避けて敢えてそちらを見ないような仕草をしてい

[理系による「アート」考察] 自由過ぎる天才絵師、俵屋宗達

俵屋宗達と言えば"風神雷神図屛風"が有名ですが、かなり謎多き絵師のようです。かつ、下記の動画でもありますが、かなり自由な画風で、それまでの絵のルールというものを全く無視するかのように作品を描いています。 自身が"風神雷神図屛風"を始めてみたのは学生のころで、良い意味であまりに言語化できない絵だったため、あっけにとられ長時間見とれてしまい、それ以来俵屋宗達の追っかけになるのですが、この前、東京国立博物館をふらっと訪れたときに2つも同時に展示してあるのを見つけ("伝"俵屋宗達で

[理系による「アート」考察] 木をアート絵画として描いてください、と言われて窮しない芸術家三選

木をアート絵画として描いてください、とリクエスト受けた場合、普通の方なら"木"というものがあまりに普遍的な題材のため、かなり困惑すると思いますが、それを見事にやり切るアーティストを紹介しようと思います。 まずは、狩野永徳です。 桃山時代の画家で、狩野派の中で一番有名ですが、"木"をこれほど豪快な表現に落とし込める画家は実はいないのではと思います。なんとも空振りせざるを得ないド直球を食らった感じです。 次に、歌川広重です。 "木"を描いていますが、絵のど真ん中にそれをもって

[理系による「アート」考察] 神を具現化する演出としての縄文土器

欧州の方に日本人の無宗教感に関して説明しているときに、 神とは、欧州人だとイエス・キリストな認識が大多数だと思うけど、日本人にとっては自然そのものだよ、 と話すと、妙に納得したような顔をされ、この仮説自体あながち間違っていないと確信したのですが、その後、この説の説得力を増すために実例があった方が良いな~、と色々探しており、いよいよ見つけたので紹介しますね。 で、それは縄文土器です。 縄文土器には、 ・そもそも何なのか? ・なぜあの形なのか? の大きく2つの疑問があるのです

[理系による「アート」考察] "東京国際フォーラム"って、上まで登れて骨組みを間近で見れるの知ってました?

アート建築で有名な"東京国際フォーラム"のガラス棟ですが、実は7階まで上がれてあの骨組みを間近で見れる、ってご存知でした? きっかけは、子供がまだ小さいころ、真夏時に外では遊べない…、が家の中も限界があり、良いところはないものか…、と探していたところ、クーラーがギンギンに効いているわけではないが、外よりは全然マシだ!、と見つけた場所がここでした。 建築的なウンチクは語りつくされていると思われるので、この棟を上から降りて行く過程で撮った写真を中心におススメの巡り方を説明しま

[理系による「アート」考察] 俗世からの一時逃避、としての苔寺

"苔生す"、という日本語があるぐらい日本人は"苔"というものに特別な何かを感じています。 この感情は欧米にはないもので、これは具体的に何なのか?、を考察するために、鎌倉の妙心寺に行ってきました。 結果、俗世からの一時逃避、のために"苔"というものを捉えている・使っている、というが今の自身の推論です。 その根拠は"苔"が広範囲に深く広がるためには、 ・時間がかかる ・人が立ち入らない必要がある の条件が必要だからです。 具体的に、下の写真ですが、趣はあるのですが、通路に

[理系による「アート」考察] 東京BABYLON(1990~1993) ➡"魔法少女まどか☆マギカ"を、それより20年前にBL(Boys' Love)でやったCLAMPの凄さ

会社の後輩(20代後半)に強く強く勧められて"魔法少女まどか☆マギカ"(アニメ版)を見ました。 自身は、萌え系の絵に強い拒否反応があり、最近のアニメは全く見ないのですが、あまりにも後輩が薦めるのと、エヴァを知らない最近の若い世代のカルチャーに強い興味があったので(その後輩はエヴァを見たことがない…)、食わず嫌いかもしれないと思い立ち、12話を一気に見ました。 初めは、予想通りの拒否反応がでて、このアニメを見ることが苦痛で苦痛でしかなかったのですが、修行だ!、と思い耐えてい

[理系による「アート」考察] 絵画オタクが画家になる、そして世界で最も偉大な画家になる

デイヴィッド・ホックニー展に行ってきました!!! 実は、自分はホックニーの大ファンで、今回の展覧会は楽しみで楽しみで仕方がなかったのですが、なんしか夏が暑すぎて…。よーやく涼しくなったので、妻を誘って行ったのですが、 凄い!!! 素晴らしい!!! やっぱホックニーは最高だ!!! で、トランス状態に入り、国内の展覧会では自身の最長記録となる3時間を超える時間をこの展覧会で過ごす始末…。(ほんとはもっと見ていたかったのですが、腰と足が限界で…) というわけで、今回は、ホッ

[理系による「アート」考察] "光を表現する"を量子力学から考える

テート美術館展に行ってきました! 学生時代から世界中の主な美術館のコンプリート(訪れるという意味)を目指し、ほぼ制覇した自負はあるのですが、まだ下記が残っており、その中にテートギャラリーもあります。 MoMa→2002年に行ったときは改装中で展示数が少なかったため、もう一度行きたい エルミタージュ美術館→カンディンスキーの大作を見たくて仕方がないが、地政学的に行ける日は訪れるのかしら… テートギャラリー→学生時代、大英博物館には行ったものの、その当時は現在アートに興味

[理系による「アート」考察] 織部焼の茶碗が歪んでいる理由

歴史における、なんでだろう?、は結局本人がもういないので正解を出すことはできず、なるほど、そうかもしれない!、と言わせたもの勝ちなのでは?、と思ったりするのですが、表題の問いに対して、自身の考えを書いてみますね。 織部焼のアートディレクターは"古田織部"ですが、下の漫画が面白いのでお勧めです。 で、古田織部がなぜ茶碗をわざと歪ませたか?、なのですが、仮にタイムマシンがあり古田織部に直接聞けるとしても、気分!、の一言で終わりそうな気が実際しています。 この"気分"という言

[理系による「アート」考察] 鑑賞者のために余白を残す日本画の進化

日本画は洋画のように画面いっぱいに描き込むのではなく、大胆に余白を設けることで有名です。下の風神雷神図屛風もかなり余白があります。 "余白"の理由は様々あると思いますが、その1つに、鑑賞者の想像で余白を埋めることで、より絵を楽しませる効果のためと考えています。つまり、鑑賞者の補間により鑑賞者独自の絵が完成するという、マス向けの絵を各個人向けに変換する高度な技術で、より絵を楽しませる目的です。 この余白を別の解釈で捉え、絵を作成する作家さんを見つけたので紹介しますね。その作