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逸木裕 虹を待つ彼女(角川文庫)を読んで

今回の作品は横溝正史ミステリ大賞を受賞した逸木裕さんの、虹を待つ彼女という作品です。

ネタバレなしの抽象的感覚派読書感想文、推薦文を書いていきたいと思います。

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この作品は冒頭から物語のヒロインが死んでしまうという衝撃的なシーンから始まります。

その死んだヒロインを人工知能という形で生き返らせるために、主人公の男がヒロインの生前のほんの僅かしかない情報資源を集めるという話。その途中でサブストーリーと絡み合ったり、脅迫され身の危険に遭遇したりと最初から最後まで楽しく読める作品です。

正直、僕はこの作品を手に取った理由が長編エンタメ小説の執筆の参考にしようという魂胆で手に取ったのでした。だが、読み進めていくうちに、当初の目的も忘れて純粋に一読者として物語に入り込んでしまいました。

おかげで参考にできるほど学びとれたか、あやしい感じです。

この作品は人工知能という昨今大きな話題にされがちなテーマで書かれています。僕のような一般の人間にはとても難しいといった印象があります。

だが、この作品は人工知能がキーとなるミステリー小説にもかかわらず、澄み切った泉の中で揺蕩っている気分を味わえました。心地よいのです。

どうしてか。おそらく、筆者の逸木さんが人工知能の主な動きや役割、立場などを事細かに設定したため、読者はその情報を全て信じて、知らない世界に抵抗なく入り込めたのだと思います。

なので僕が感じた泉は、見たことのないような深海魚のような外見の魚がいる未知のものでありながら、山女魚や岩魚などの川魚が共存して安心して入れるような泉になっていたのだと思いました。

以上で、今回の感想文を終えます。しつこいですが、僕の作品も↓↓

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