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深町秋生 果てしなき渇き(宝島社文庫)を読んで

お久しぶりです。今回の作品は深町秋生さんの「果てしなき渇き」です。それではネタバレ回避の抽象的感覚派読書感想文、推薦文を書いていきます。

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大まかな内容を説明します。元警察官の藤島は、コンビニにて3人の人間が殺害された現場に遭遇します。それと同時に離婚した妻との間に生まれた娘の加奈子が予備校に行ったきり帰って来なくなります。藤島は警察官時代に娘とまともに接する暇もなく、罪滅ぼしのためにも娘を探し出そうとします。だが、娘を追えば追うほどアウトローの世界に入って行き、藤島の予想だにしていなかった娘の人物像が浮かび上がって来るのです。

500ページ程もある大作だったのですが、全く中だるみすることなく、終始楽しく読める作品でした。藤島のキャラクターがTheハードボイルドといった感じで勢いがあり、ハイスピードで進ストーリーに流され、残酷な描写に臆されながらもページを捲る手が止まらなかったです。藤島の章と瀬岡という加奈子の同級生の章が交互に出てくるのですが、瀬岡の章は思春期特有の青臭い心理と加奈子の残虐さが良い感じでマッチしてて、1つの作品で2つの味が楽しめる作品と言えます。

この作品は、料理に喩えられないですが、オシャレなカフェで飾られた色鮮やかなバラの花を観察しながら、インドのスパイシーなカレーを食べているような感覚になる作品だと思いました。組み合わせが滅茶苦茶ですが、これも浮世離れした雰囲気で非現実の良さがあるのです。瀬岡の章では美しくも非人道的な加奈子が登場し、美しいが棘のあるバラを連想させます。ヤクザや薬物、暴力で埋め尽くされた藤島の章は、スパイシーでガラムマサラが多めに入ったボリューム満天のインドカレーだと思いました。

これで今回の読書感想文を終えます。拙作につきましては↓


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