吉田エン 世界の終わりの壁際で(ハヤカワ文庫)を読んで
今回の作品は吉田エンさんの「世界の終わりの壁際で」という作品です。ネタバレ回避の抽象的感覚派読書感想文を書いていきたいと思います!
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日本人作家の本格的なSF小説です。大まかな内容は、舞台は未来の日本のようです。未来の日本は東京の山手線に沿った形で城壁が築かれ、中はシティと呼ばれる都市が出来上がっていました。それ以外は市外と呼ばれており、シティの住民は優雅な生活を送り、市外の人たちは極貧生活を送っているのです。
その市外に小説の主人公の片桐という少年が住んでいます。彼は未来の格ゲーのようなフラグメンツという対戦ゲームで、多くのひとがしているように、体に細工をすることなく中位ほどの戦績を残しており、いつか上位に入り大金得て、シティの中に入ろうと奮闘しています。
そんな中、片桐はひょんなことから黒いボックス型の謎のAIを手に入れ、それを巡りシティ内外の者たちとゲーム内ではなく現実世界で奮闘を繰り広げることになるのです。
この作品はSF小説で最初は取っ付き難い印象を受けるかもしれません。だが、主人公の片桐や、目が見えないが耳が敏感な真っ白な髪の少女、雪子が非常に魅力的でぐいぐい作品世界に吸い込まれて行きます。
最初は分かりづらかったところも作品の中に入ってしまえば、世界観を構成するツルリと光る大理石のように見えてしまうほどの魅力になるのです。その魅力を味わえるようになったら、もう読む手は止まらなくなるでしょう。
この作品は金色銀色に光る金属の花の花弁を鑑賞し、人工の美を堪能できるような作品です。現実だけが素晴らしいのではなく、人が考え出した空想の世界も素晴らしいことを再確認できます。人工の花は自然の花のように蜜を出し、良い匂いを漂わせ、ハチなどを誘き寄せ、花粉を撒き、新たな人工の花を咲かせるようになるでしょう。それは同じくSFだとは限りません。SFに感化されて、ホラーを書きたくなる人もいます。(それは僕です)
しかもこの作品は作者のデビュー作ということで、未知を書く勇気を与えてくれます。
このように想像の世界に嵌らせてくれる作品は、小説を書くアマチュア作家たちにも良い影響を与えるのだと感じました。そういう作品は作家を目指していない人にも、何らかの創造性を与えてくれると思います。
以上で今回の抽象的感覚派読書感想文を終えます。最近は文学賞に送る作品の執筆が忙しく、中々noteを書けません。(記事の推敲すらできていない酷い状態です。)ですが僕のペースでやっていくつもりなので、応援よろしくお願いします。毎度の拙作について
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