ジェームズ・W・ヤング著今井繁雄訳『アイデアのつくり方』(CCCメディアハウス)読了。
ジェームズ・W・ヤング著
今井繁雄訳
『アイデアのつくり方』(CCCメディアハウス)読了。
「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない 」
との名言で知られる広告界のバイブル。
新しいアイデアを考えつくなど、何かしらを創造するために必要なのは、普段からの知識の蓄積と、関連情報の収集である。
そして、知識の蓄積と関連情報の収集の後は、
「既存の要素を新しい一つの組み合わせに導く」作業が必要になる。
そして、それができる「才能」は、「事物の関連性をみつけ出す才能に依存するところが大きい」
「事物の関連性をみつけ出す才能」って所を読んで、はたと気づいた。
先に読ん池上彰氏の著書(『何のために学ぶのか』)の記述にも、こんなことが書いてあったことを思い出した。
池上氏はこの「事物の関連性をみつけ出す」能力を鍛えるのが、数学の“因数分解”と言っていた。
ヤング氏がこの著書を書いたキッカケはある雑誌社の広告担当者の質問であった。
「いったいあなたはどうやってそれ(広告のアイデア)を手に入れられたのですか」という内容の質問である。
質問者はどうも魔法の“How to”があって、その“How to”さえ聞けば、すぐに自分達もできるようになると考えているようだ🤪。
“努力をしてこなかった人間アルアル”
だなぁ~😮💨😮💨😮💨と思った。
私の本職で言えば、日本史の論述を、先生に“添削”さえして貰えば書けるようになると思っているバカ生徒と同じ。
いくら論述の“How to”(第一、そんなもの無いに等しい)を教わったところで、日本史の知識の蓄積が無ければ書けないのが日本史の論述なのだ。
私がヤングなら「バカ野郎💥」って一喝して終わりだけど、ここでヤングは違っていた。
「<アイデアをあなたはどうして手に入れる>という質問に対する解答として一つの公式なり技術が開発できないだろうか」と考えた結果、この本が出来上がったのである。
だが、
結局はヤング氏が言うように、
「パターン製造機である心の中に貯えられる世界の要素が多くなればなるほど、新しい目のさめるような組み合わせ、即ちアイデアが生まれるチャンスもそれだけ多くなる」に尽きる。
結局は“公式(=How to)”より“知識量”である。
そして、その知識量を劇的に増やすキッカケが授業や受験や仕事等
“やらなきゃならない”状況だったりする。
自分の仕事柄、ヤング氏が先の引用文に続けた次の一節が気に入っている。
「大学の一般教養科目の実用的な価値に疑問をいだいている広告科の学生諸君はこの辺のことをとくと考えて頂きたい」。
すぐに役立つ“How to”的な知識を求める前に、一見役立たなそうな知識の蓄積をしろってワケで。
先に挙げた池上彰氏の言うところの“リベラルアーツ”的な学問の重要性に繋がる。
さて、このヤング氏の開発した“公式”に当たる部分を読んでいてはたと気づいた。
「これって、やり方は全然違いそうだけど、途中で読むことにつかれちゃった“ある本”に似ている」と。
「ある本」とは、梅田悟司氏の『言葉にできるは武器になる』である。
梅田氏はコピーライターで、そのコピーを捻出する“公式”が延々と書かれていて読んでいて嫌になっちゃったのである。
どうも、梅田氏は広告業界にいながら、“アメリカの広告業界のバイブル”と言われてきたこの古典(原文の初出は1960年、原著の初版は1940年)を読んだことが無かったらしい。
要はアイデア創出において普遍的な必要条件は一つだけ。知識の収集と蓄積なのである。
一方でアイデアの捻り出し方は、人“それぞれ”でいいわけである。
梅田氏のやり方は参考にはなるけれど、必ずしも“それでなくてはならない”というものではない。
それはこのヤング氏の著書の「公式」も同じである。
私の「捻り出し方は“人それぞれ”」的な考えは、この著書の最後の竹内均氏の「解説」を読んで確信となった。
必ず「解説」まで読みたい本である。
竹内氏の捻り出し方は、もっと凄まじいしね😱