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【2025 読了NO.4】濱涯泰司著『職業・打撃投手』(ワニブックス[PLUS]新書)読了

人生には二つの生き方がある。

運命に抗う生き方と、順応していく生き方だ。

【2025 読了NO.3】で取り上げたの元阪神の奥村氏は前者の生き方だった。

「気持ち良く打者に打ってもらう」打撃投手の仕事に順応できず、つい厳しいコースに投げてしまったそうだ。そのため、打撃投手を一年でクビになった。

しかし、その後に9年もの月日をかけながらも、超難関で知られる公認会計士資格試験に合格した。

それに対してこの【2025 読了NO.4】の本の作者は、打撃投手の仕事に心身ともに順応した後者の生き方の例だった。

正反対に見える二人の生き方に触れてみて、自分は正直言ってその中間の生き方をしてきたなぁと感じたし、どっちもアリだなと思った。

この本の著者の濱涯(ハマギワ)氏は、ダイエー時代からずっと32年間、ホークス一筋である。私もそうだが、一つの世界に長くいるのは、意外に面白いものである。

世の移り変わりを「定点観測」できるからだ。

プロ野球における監督と選手の関係が大きく変わったと濱涯氏は言う。

以前は軍隊式であったのが、今(2024年)は監督、具体的にはソフトバンクホークスの小久保裕紀監督のように、監督が積極的に選手に声をかけてコミュニケーションをとる時代になったという。

それは同じ年に日本シリーズで戦ったDeNaの三浦大輔監督も同じなので、個人的な特徴というより、やはり時代の変化故のものといえよう。

三浦大輔監督について

私も会社を辞めてすぐ始めた個別指導塾講師時代から数えると、もう35年も塾・予備校講師を続けている。

この本を読むまでもなく、生徒との関係の変化を「定点観測」してきた。

授業をちゃんと聞かない生徒には、「ちゃんと聞け!」と発破をかけても通用しない。むしろ授業と関係ない話を私の方からする方が効果ある。

その点では読書量も多くて多趣味な私は、人間としての引出しは多いので有利だ。

自分の運命に抗う生き方も素敵だが、運命に身を委ねることで、意外な天職を見つけることができたりする。

濱涯氏は言う。

「おそらく選手としての投手より、打撃投手のほうが私の仕事としては合っていたのだと思います。まさに天職に巡り合えたことに感謝しています。」

「あらためていろいろな偶然が今の私を形作っているのだと感じることができました。」

それは私にも言える。

予備校の講師になれたのも、いろいろな偶然があったからと思う。特に子供の頃から塾や予備校の講師になろうと思っていたわけではない。

大学院受験を志して会社を辞めたのだが、1度大学を出た人間が親のスネかじりするわけにもいかなくて、たまたま新聞折込みチラシに載っていた個別指導塾の講師募集に応募しただけだった。

ところが、人に教えるのは私の天職だった。

私の一番の良さは、徹底的な授業予習(=教材研究)である。自分を頼ってくる生徒のためだと、メチャ真面目になれるのだ。

あの頃は英検2級も受からなかった私が、5段階評価で英語が2だった女子中学生をすぐに4に上げた。そして、その後英検2級を受けたら簡単に受かってしまった。
自分のためだと願張らない私が、、他人のためだと頑張れるのだと、自分の意外な面を知ることができた。

たった一年の間に、古文を教えていた女子生徒を私の(学部の)母校日本女子大に現役合格させたし、算数が苦手で教えていた小六の子が私の指導で自信を持ち始め、年が改まってから「中学入試がしたい」と言い出したのだが、その子をなんとか神奈川県の私立中学に入れるのに成功した。

濱涯氏も打撃投手としての遣り甲斐を以下のように話している。

「練習をサポートしているバッターたちが活躍してくれることで、間接的にチームに役立っています。それが誇りであり、やりがいです。」

こういう人もいるのだ…と思っていたら、自分こそそうだった。

改めて自分の今までのキャリアを見直すきっかけになった。

「あらためていろいろな偶然が今の私を形作っているのだと感じることができました。」

濱涯氏のこの言葉、まさに私にこそ当てはまった。

どうだろうか?
今、自分の仕事に疑問を持っている人も、改めて今のご自分を形作っている「いろいろな偶然」を思い起こしてみてはいかがだろうか?

あなたを作ったのは、決してあなただけではないってことを改めて見直してみてほしい。

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