最近読んだ本32『赤と青のガウン』(彬子女王)
台湾(と沖縄)旅行の移動中に読了。アマプラでDLした逃げ若は観切らんかった、ざんねん……。
Twitter(敢えてのTwitter表記)でのバズpostが流れてきて面白そうだと思い、ほいほいと買ったものです。TwitterのTLがほぼ本屋の店頭です。おすすめしてくれたツイ主さん、ありがとう~。
・皇族あるあるが面白過ぎる
「いつも誰かがそばにいたから、ひとりで出歩くのが留学先が初めて」をはじめとした皇族あるあるが面白過ぎます。「彬子女王」を「アキコ・ジョー」に聞き間違いされて、最後に皇族だと明かしてびっくりされた話とか。確かに存じ上げなければまさか「女王」って付くとは思わないですわ。
・容赦のないオックスフォード
人脈的には格段に恵まれていらっしゃるのですが、だからって「はい博士号」とくれるオックスフォードではありません。なので、楽しかった留学生活に織り交ぜて、論文執筆時に体調を崩されるほどの心労を感じていらっしゃったことが綴られています。鬱々してしまわれたのはイギリスの気候的なものもあると思う、寒いですし(住まわれていた寮も古そう)。
・何を学ばれ、研究されていたのか
読んでいる内に留学記を書かれた経緯には、もしやと思い当たり、そして正解だったのですが、それも踏まえて「では何を学ばれていたのか」についてしっかり読ませていただき、この点に感動しました。皇族にそぐわしい研究というものがあり、彬子女王様の研究(美術館の日本コレクションについて)もその系列だと思う。調査等を受け入れる美術館側も、どこの馬とも知れない自称研究者より、知識も人脈もある皇族や貴族の方が安心できましょうし、これから研究をもっと進められるとしても、日本美術コレクションを持っている収集家の方々との接触に皇族という地位と人脈が、確実に役に立つと思います。
亡くなったジョー・プライス氏との交流の中で学ばれた「自然光の中で鑑賞する」という浮世絵への向き合い方、目から鱗でした。何故なら、江戸時代にはそうしていたから。確かにそう!
美術史に限らず「研究」という過程に興味のあるかたは、ぜひお読みください。