映画「破墓/パミョ」~どうもMZ世代にフォーカスしたっぽい?~
Twitterで流れてきたポスターのビジュアルが良すぎて観に行きました。
(メイン4人が1人ずつポーズ取ってるやつね)
なんかおもってたんと違った。
面白いか面白くないかで言ったら、面白い寄りだけど、全員にぜひぜひとおススメはしません。
・そんなに怖くない(全然怖くないよ!とは言わない)
・巫堂(韓国のシャーマン)のお祓いシーンだけでも元は取れる
・構成はうまいが細部がてんでダメ(珍しいパターン。失敗日本映画だと細部が良いのに構成がてんでダメなものが多いので)
・少しでも反日要素に嫌悪感を抱く人にはおススメしない(尚、反日映画ではありません)
以下はネタバレするよ!!!!!
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・しょっぱなの飛行機のシーンから引っ掛かりまくり。巫堂ファリムが「私は韓国人です」と答えているのにCA(ファリムに日本語で話しかけていた)が「失礼いたしました」的な返答を日本語で返している。おかしくないですか??? 英語または韓国語で返すのが自然。
・上記シーン、ビジネスまたはファーストクラスでファリム(師匠)とボンギル(弟子)が移動してるんですけど、普通お弟子さんはエコノミーじゃないですかねー。クライアントが準備したチケットだったのかな。
・これは鑑賞した日本人の総意だと思うんだけど、
1)日本語がてんでダメ(冒頭はともかく、ファリムと「精霊」との対話関連)
2)何故関ヶ原を混ぜた
日本語と日本の歴史認識がくっしゃくしゃで、日本の時代考証と日本語台詞監修をなぜ入れなかった……!!!!!!
もしかして韓国で大ヒットするとは思わなかった、よって日本で公開するなんて思わなかったのかな……なんて。
・というのも、ポスターのビジュアルは大変おしゃんなんだけど、内容はB級ホラーだからね。
・物語の根幹となる「キツネ(日本、日本の風水師)が虎(韓国、朝鮮半島)の腰を切った」というのはどうも「日帝風水謀略説」という都市伝説がもとらしいです。日本人の大半は知らないし(なのでいきなり兜の怨霊的なものが出てきて「わけわからん、反日じゃん」と感じる人もいる)、真実味の薄い都市伝説がベースなのでB級みがすごい。たとえば日本できさらぎ駅がベースになったホラーが大ヒットするようなもの(「破墓」は「家族(血縁)」が主題にあるので、「日本で、きさらぎ駅を題材にした、人とペットのわんことの絆を主題にしたホラー映画が大ヒットした(陰陽師も出てくるよ!)」、と書くと「そんなことある!!!???(笑)」感がわかると思う)
・重葬の下に埋葬されていた「精霊」(関ヶ原関係の何者か)は石田三成という考察もあるけども、敢えて考察するなら「三成を含む西軍の総体」なんじゃないかな……。兜が三成のものじゃないし、じゃなきゃ異様にデカい意味がわからない。
・キツネ=日本が、日本でいうところの怨霊(西軍の総体。韓国併合できなかった怨念)を朝鮮半島の精気を断ち切る鉄杭としてあの場所に移し、依頼主のパク氏の先祖(韓国を日本に売ろうとした反逆者扱い。つまり日本の手先)もキツネによって鉄杭としてあの場に埋葬された。って解釈で合ってるかな…… パンフが品切れだったので詳しいことがわかりません。
・↑これだけ読むと「反日要素!」って感じなんですけど、断片的かつちゃんとした説明もない上に合わせている先がB級ホラーなので「スパイスとして日本要素入れました☆てへ」感が非常に強く、結局依頼主の一族(依頼主は亡くなるけども)は平穏な生活を手に入れるので、本当に反日映画にするなら
1)依頼主の一族全滅
2)風水師サンドクの娘の相手はドイツ人でない(第二次世界大戦、日本はドイツと組みましたので)
だと思うんですよね。
・個人的にはビジュアルが良かったポスターは「ジャンプコミックスの表紙っぽい、っていうか呪術廻戦っぽい」、一族の呪いは「産屋敷家じゃん」と思ったので、日本要素(韓国の若者、日本の若者にウケる日本要素)の詰め合わせセット=MZ世代にフォーカスしたB級ホラーだなと考えています。
・家族(血縁)の葬儀で始まり、家族(血縁だけじゃない)の結婚式で終わる構成、また重葬により物語が二段階構造になっている構成はお見事だと思います。
・巫堂師弟の一切恋愛感情が絡まない師弟関係は日本でも韓国でも推されているようですが、風水師と葬儀師のおじさんズの関係も非常に萌えです!!!!!!!!!!!!! 韓国映画が好きなかたが「年齢的にユヘジンさんが弟キャラになる作品ってなかなかない」というポイントを挙げてらっしゃって、なるほどなるほどと思いました。とても良い。おじさんズ、性格も良いので安心して観られます。
・巫堂ファリムはもうちょっと活躍して欲しかったな~と思います。それはそれとしてお祓いシーンは圧巻です。
[10月28日追記]
ふせったーで「忘れてた追加の感想」を書こうとしてうっかり消去してしまったので、こちらに追記で書きます。
最後、おじさんというかおじいさん風水師サンドクが力技で精霊をやっつけた感があり、そう捉えると「???」なシーンなんですが、あれは「朝鮮半島に対する日本の風水攻撃を、韓国の風水師が風水の力でもって、韓国の未来(娘は国際結婚。地縁の家族は世界に広がっていく、つまりは世界のためと言ってもいい)のために打ち破る」という決戦で、「風水師(地官)」が主人公として同じ属性のラスボスに立ち向かうまさにジャンプの王道みたいな展開として捉えるものだと思いました。ひゅ~胸熱!
しかしもうちょっと観客にとって(特に日本を含む海外の観客にとって)わかりやすい説明は欲しかったなーというのは、ほんとそのとおり。なので巫堂ファリムがもっと活躍して欲しかったという印象になっちゃう。