水野義之

関西外国語大学教授、京都女子大学名誉教授

水野義之

関西外国語大学教授、京都女子大学名誉教授

最近の記事

2023年8月「新型コロナ」データの見方について

2023年8月の「新型コロナ感染症」(COVID-19)のデータの見方について、メモします。 図1には、2023年8月末現在の日本の感染者数の推移を示します。日々の新規陽性者数が最大の頃(2022年8月)は、日本ではオミクロン株が中心でした。今の諸外国を見ても、オミクロン「の中の」何かの亜種が大部分、という状況です(図2)。 注意:なお、この数字(縦軸の値)はサンプリング結果なので、その値自体ではなくて、その推移(変化)に注目することが必要です(その上で、サンプリング率が時

    • 2023年7月の「コロナ」(COVID-19)の状況をどう解釈するか

      コロナ(COVID-19)について、現状がよくわからないと感じます(2023年7月10日現在)。そこで、この現状の解釈について、気付いたことを以下にメモします。この推論のどこかで間違っていれば、ご指摘をお願いします(宛先:twitter @y_mizuno)。 * 2023年5月8日にCOVID-19が5類に移行して以来、統計の発表が止まってしまって、数字がわからなくなりました。 実は私は1年前に、統計数字の連続性をチェックしてから、サンプリングに切り替えるべきだと主張し

      • 「古希」の出典

        人の年齢70歳の別名を「古希」といいますが、この「古希」という言葉の出典について、調べたことをメモします。 まず論語から。我十有五にして学に志しに始まる一連の(誰でも知る ところの)言葉を書いて見ると、15歳志学、30歳而立、40歳不惑、 50歳知天命、60歳耳順、70歳不踰矩(矩を踰えず)。 当たり前ですが「古希」は論語には出てこない。還暦も論語でないのと同様。 だったら、古希の出典は、というと。まず「人生七十古来稀なり」というので70歳を古希と呼んでいる。だったら「

        • こんな時代になろうとは -ChatGPTの影響

          こんな時代になろうとは。 1)松尾豊教授(東京大学):「ChatGPTにより、新しい時代に入ることが確定した。賽は投げられた。」 2)太田邦史教授(東京大学理事・副学長、教育・情報担当):「人類はこの数ヶ月でもうすでにルビコン川を渡ってしまったのかもしれないのです。」 3)黒橋禎夫教授(元京都大学、2023年4月から国立情報学研究所長):「いずれにしても人間とAIの本格的な共存の始まり」 出典: 1)https://note.com/akihisa_shiozaki/n/

          今年も福島に行ってきました。-福島研修旅行2022年夏の報告-

          福島での学生引率の研修旅行、2022年夏。今年は学生15名、京都女子大学8名、関西外国語大学7名。今回は中間貯蔵施設にも入った。2時間のワークショップもやった。事前学習に加え、少しづつ知識が増え、学ぶところが大きかった。帰還困難区域では、特定復興再生拠点区域(スポットで帰還可能に整備する区域)が徐々に増えている。 除染廃棄物の最終処分場の課題についても学んだ。原発事故後、居住環境の確保のため、除染は不可避だった。中間貯蔵施設も必須だった。この途上で最終処分場は福島県外と国が

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          オミクロン株(新型コロナ)の致死率の分かりにくさ

          コロナのオミクロン株の致死率は、なかなか、厄介だと思います。みな、よく分からなくて、困惑していると思います。以下、1ヶ月くらい前に調べたことをメモします。最初に結論を書きます。「オミクロン株の感染ピークは、時間的に左右非対称であり、感染のピークと死亡者数のピークが、かなりズレるので、致死率の判断が混乱するのではないか」、ということです。 ■はじめに 流行の最初から、コロナはただの風邪、という人は、いました。 なぜなら、高齢者は普通の肺炎でバタバタ死んでいるのに、何を言って

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          「福島研修旅行2022」質疑応答

          質問1:隣接する地域で震度が異なるのはなぜ? Q1: 隣接する地域で震度が異なるのはなぜでしょうか。例えば、浪江町では震度6強ですが、隣の葛尾村では震度5強となっていました。地盤による違いかなと私は考えたのですが、葛尾村は周りの地域に比べ地盤が異なっているのでしょうか。 https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/486636.pdf A1: これは、とても良いご質問です。私はちゃんと見てなかったです。確かに

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          RAD-IT21:科学技術系のWebマガジン–AIに関する記事の目次

          科学技術系・学術系のRAD-IT21というWebマガジンがあります。ホームページはこちらです。https://rad-it21.com/ ここでは、その中のAI系の記事の目次を紹介します。創刊号を私が書きました。それぞれ力作だと思います。よろしければご参照下さい。 1)水野義之、いまのAI は「アホ」なのか? ― たかがAI、されどAI https://rad-it21.com/ai/mizuno20180611/ 2)津田一郎、今からのAI https://rad-it

          RAD-IT21:科学技術系のWebマガジン–AIに関する記事の目次

          2022年1月トンガ噴火の衝撃波の解釈

          要旨:2022年1月15日に起こった「トンガ噴火の衝撃波」は、各地の気圧に急激な変化をもたらした。この時の気圧変化は、私の自宅の気圧計でも測定できていた。そこでその気圧変化のデータの特徴について、議論した。 1.衝撃波のデータ 2022年1月15日に起こったトンガの噴火による大気圧のパルス変動(衝撃波)は、私の自宅の気圧計でも見えていた。この波動の到達は、日本時間で13:10-20:39まで掛かっていた(26940秒)。 2.衝撃波の速度 私の自宅の場合、Googleによ

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          雪の中を最終電車で辿り着いた大垣駅で接続なく車中泊も提供されず毛布1枚で放り出された乗客の一人だった話

          関連note: 2021年12月27日未明に発生した「雪の大垣駅舎毛布1枚帰宅困難事象」— 帰宅困難者対応と大規模広域災害での広域連携に関する提案— https://note.com/mizuno_yoshiyuki/n/nfd3983ad9c55 背景:2021年12月27日未明、大雪の中で、JR米原-大垣間の普通列車に約1時間半の遅延が発生した。その結果、元々は岐阜・名古屋方面に接続する予定の列車がなくなった。途中で車内放送はされたが対応には限界があり、多くの乗客が

          雪の中を最終電車で辿り着いた大垣駅で接続なく車中泊も提供されず毛布1枚で放り出された乗客の一人だった話

          2021年12月27日未明に発生した「雪の大垣駅舎毛布1枚帰宅困難事象」の経緯と原因並びに対応策 — 帰宅困難者対応と大規模広域災害での広域連携に関する提案 —

          関連note: 「雪の中を最終電車で辿り着いた大垣駅で接続なく車中泊も提供されず毛布1枚で放り出された乗客の一人だった話 」 https://note.com/mizuno_yoshiyuki/n/n8f05253856e9 要旨: 2021年12月27日未明、予想外の大雪の中、JR線の米原大垣間の普通列車に、約1時間半という遅延が発生した。その結果、元々は岐阜名古屋方面に接続するはずだった列車がなくなり、結果的に多くの乗客が大垣駅で足止めとなった。そして帰宅困難者が100

          2021年12月27日未明に発生した「雪の大垣駅舎毛布1枚帰宅困難事象」の経緯と原因並びに対応策 — 帰宅困難者対応と大規模広域災害での広域連携に関する提案 —

          九州大学の河合光路先生の訃報に接して

          以下の文章は、原子核物理学の理論的研究において多大な貢献をされた 九州大学名誉教授、河合光路(みつじ)先生が7月23日にご逝去されたとの報を承けて、私が2021年7月26日に、とあるメーリングリストに書いたことです。こちらにも転載します。(一部、年号の記憶違いを訂正しています)。 * 河合先生の訃報に接し、お悔やみ申し上げます。 私は河合光路先生には、直接には教えていただいたことはなかったですが、あの冷静沈着な講義スタイルを思い出しております。 私が河合先生の講義をお

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          益川敏英先生の訃報に接して

          この文章は、2021年7月30日に、とあるメーリングリストに書いたことですが、こちらにも転載します。 昨日7月29日には、益川敏英先生の訃報が報道されました。 この訃報に接し、お悔やみ申し上げます。 私は益川先生とも直接に対話したことは、多分なかったと思います。 しかし間接的には、いくつか思い出すことがあるので、メモします。 ご参考にならなければ済みません。 1)若手に対する「喝」について 初田哲男先生が「まだまだ若手にはっぱをかけて頂きたかった」と(Faceboo

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          新型コロナの変異株の名前について

          2020年のコロナ禍に加えて、英国発のVOC-202012/01と、南ア発の501 Y.V2という面倒なヴァリアント(変異株)が出てきてうんざりの今日この頃です。私自身は、まずこの名前が良くわからずに混乱しました。そこで以下では、これらの名前の由来について、書きます。調べたことを自分の言葉で書いただけですが、お役に立てば幸いです。 * 今回の新型コロナ、SARS-CoV-2のヴァリアントには、もう4000種類くらい(2020年12月現在)あるらしいので、騒ぐほどのことはな

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          感染者数の変曲点と実効再生産数の系統性を使ったピークアウトの予測

          2020年9月21日 水野義之(京都女子大学) 要旨: 本稿では、新型コロナウイルスの感染者数が、一度増加に転じた後、ピークアウトする時期を予測するための、簡便な方法について解説する。この方法は統計誤差が小さいことが必要である。このため大都市圏など感染者数が多い場合に使うことができる。事例として2020年8月のピークアウトの予測を東京都、大阪府、神奈川県の場合に、約2週間前にできることを示した。  ただし今後、本稿で想定していない社会変動やメディアの報道姿勢の変化(例えば日

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          新型コロナQ&A

          ===============================  新型コロナウイルス(COVID-19)Q&A (2020/05/04, 17) =============================== この「新型コロナウイルス(COVID-19)Q&A」は、日本情報倫理協会(JANL)の会員がそのメーリングリスト上で行った質疑応答が元になっています。本Q&Aの公開に賛同して下さった大阪府の「一学生さん」に感謝します。            連絡先:水野義之(mizun

          新型コロナQ&A