九州大学の河合光路先生の訃報に接して

以下の文章は、原子核物理学の理論的研究において多大な貢献をされた
九州大学名誉教授、河合光路(みつじ)先生が7月23日にご逝去されたとの報を承けて、私が2021年7月26日に、とあるメーリングリストに書いたことです。こちらにも転載します。(一部、年号の記憶違いを訂正しています)。


河合先生の訃報に接し、お悔やみ申し上げます。

私は河合光路先生には、直接には教えていただいたことはなかったですが、あの冷静沈着な講義スタイルを思い出しております。

私が河合先生の講義をお聞きしたのは、1976年頃だったと思います。京大で集中講義があった時に、「押しかけ」で聞きに行きました。本来、複雑で難しいはずの核反応のモデル化の講義でしたが、何か分かったように思える、明快なご説明には、大きな影響を受けたと、自分では思っております。

今思えば、直接反応の簡単な場合だったからだと思えますが、それでも相互作用を反応前のを取るか、後のを取るかで違いが出てしまう、これをPost-Prior Discrepancy と呼びます、と大学院向けらしい、面白い講義でした。
私は、核反応のモデル化の威力と、難しさ、あるいは問題点を(その時は)
理解した気がして、感銘を受けました。(CDCCなどはその後だったと思います)

その当時、1972年くらいから、湯川秀樹先生が定年退官の後でしょうか、
岩波講座の「現代物理学の基礎」というのが出始めていました。その「原子核論」の核反応の部分を、河合光路先生が書かれていたと思います。

その後も、割と最近まで、だったと思いますが、本を出されてました。その一つで朝倉の専門的な叢書(物理学体系)で「原子核反応論」を河合光路先生と吉田思郎先生の共著で出されていましたが、またその中身がよくて、手にとるように中身が分かった気分になって、昔を思い出しつつ、感銘を受けたのが、6年くらい前だったと思います、私としましては。

河合先生には、間接的でしたが、色々と教えていただきました。
ありがとうございました。
ご冥福をお祈り致します。



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