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何人目の南条

その昔『五番目のサリー』という小説があった。『24人のビリー・ミリガン』『アルジャーノンに花束を』など大ベストセラーを放った作家さん(名前ど忘れ)の小説。
多重人格のお話である。



つねづね「トカゲ」の兄貴(私のアニムス)やら色んなマイ人格をないまぜにしてここに書いてるが別に珍しくもないだろう。そんな人は。



上から「オイオイ」と冷静にツッコミを入れてくるのはトカゲ。解説つきで。
すごく優しい人格も、さらに人類を超えてゴキブリにまで愛を叫ぶ奴もいる。大丈夫意識飛んではいない。自覚がある。



そんな私の何番目だか。ちょっとお見せしづらいのも当然いるわけですね。



理屈こね。強情っぱり。この辺は自力で大分統合したが、そいういごね屋たちを完全消毒できるわけでは当然、ない。
腸内細菌から全ての悪玉菌を排除したら生物本体も死ぬんだろう。それと同じことで、私の中のごつい奴のご機嫌をこまめに取ってやらないと…。



私には異様に凶暴な所がある。
幼い頃、姉が友達に書いた私の紹介文を見てしまったことがある。曰く
「可愛いが怒るとグリズリー」。



弟に三輪車を投げつけたこともある。
父の横暴に怒り飛びかかったこともある。
付き合い始めた頃T兄の自己中についにキレて、ビンタではなくいきなり「顔面に噛みついた」こともある。
若い頃酔ってなにかに激怒し自分ちの簡易ストーブを壁に叩きつけて破壊したこともある。
その頃の精神科の先生は静かに、優しく言った。
「あなたのその怒りをなんとかしないとね」。


若さとは怒りだった。ヤンキーにはならなくてもゴリゴリメタルを聴いて凌いでたが、怒りはついに周囲を傷つけ自分自身をも破壊していくこととなる。自殺未遂もたんとした。精神科に入るわけだ。
まったくよく捕まらなかったしよく生きてた。と思う。運が良かった。
そしてなぜかいつも、助けてくれる存在が現れた。
トカゲ曰く、
「いい加減に目ぇ覚ませ、だったし俺の分身を死なせるわけにはいかなかったからな。必死に止めてくれてたの、誰だか今はもう分かるだろ?理由も」


そんな精神の「再生」「生まれ変わり」が始まったのは近年。



たまにやらかしますよ。今でも。
流石に暴力的行動は消えたが、ストレス溜まってきてて泥酔するとね。
キレますよ。



進化したなあと思うのが。
酔いが覚めても他人のことや自分のことも状況も責めなくなったこと。それで断酒だの節酒だのも決意しなくなった。どうせまた飲む。量自体は減ってきてる。



自慢でもなんでもないネガキャンだがこれも南条。私が許さなきゃ誰が許す。
もう絶対しませんとか自分だけは正しいというのは、無いのだ。この世に。



自分を許し、なだめ、落ち着かせる。他人に機嫌を取ってもらわなくても、もう大丈夫。人に何かを期待しなければ人のせいにして不機嫌というみっともない事態は無くなる。



暴力性の高いスポーツをやっている人と知り合いだったことがある。本当に人格者で敬愛していた。いつも誰に対しても優しくのんびり、周囲に気負わせることがなかった。説教も強制もない。
その人に教わったのは「ケンカは絶対!やっちゃダメなんだ」。



そして月日は流れ。
家族だろうが友人だろうが、人を支配・コントロールする/されることからは離れるようにしてきている。
それに最も効果的だったのは、自分をまず許すことだった。


やってみると分かるがそれからでないと他人を許すのは難しい。まず他者を許してから自分を、というのはもうすでに自分に恐ろしいほどの我慢を強いている。怒りをただ飲み込んでるだけ。結局誰も何も許してない。怒りが収まらず再燃すればまた同じことを繰り返す。



相性もあるけど相性は自分で良くできる。出会う人とはみんな必要なご縁があったから。私が「いい」と思ったら相性は「いい」。そう決めて動く。「占いでは最悪」とか縁結びとか他人まかせのスピリチュアリティなら必要ない。それくらい自分で分かる。それ以前に覚悟する。
覚悟を決めて幸せになるしして差し上げる。その約束は自分自身としてるから、破れない。自分には嘘、つけないものね。



自分を天使に変えればいい。
そしてたまに牙を剥く自分もいていい。可愛い小次郎🐈だって、うちら何べんマジ噛みされたことか。
それでも許してるわけでしょ、猫を。猫はいいけど人は許せないなんておかしいじゃない?どっちも許すの。



なら私の獰猛さも許してあげる。ほら、横になってフアフア毛布にくるまって。



それでもお前はいい子だよ。本当にいい子だ、とてもよく頑張ってきたね。
分かってるよ。
いいこ。いいこ。
なんで怒ったのとかどうするのそれなんて聞かない。
だって傷ついて、悲しかったからあなたは怒ったんでしょ。
じゃあ私が許してあげる。
あなたはいいこ。
優しい子。
大丈夫大丈夫。
安心、安心。
もう誰もあなたを傷つけないよ。



静かに言い聞かせていると悲しみはほろほろ溶け崩れて、またいっぱい泣く。保護された赤ん坊のように。
5分後。
『アメトーーク』の「踊れない芸人」視て爆笑してる私がいた。



今は美しいハープの音色を聴きながらこれ書いてます。ビールとワインを少し。日曜の夕べ。

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