
てぃくる 1093 いいかげん
「おおーい」
「なんだー」
「もう咲いていいのかー?」
「いいんちゃうかー」

「どのくらい咲いていられるんだー?」
「好きなだけー」
「っても、萎れるだろー」
「次が咲けば問題なしー」
「じゃあ、満開がいつかわからんだろー」
「満開になって喜ぶ人はそうそうおらんと思うぞー」
「そっかー」
「そだー」
◇ ◇ ◇
いつの間にか咲いて。いつの間にか盛りを過ぎる。梅や桜が次々に咲き継ぐ頃には、蝋梅の木がどこにあったかすら定かでなくなる。甘く漂っていた芳香も、記憶には色をつけることができない。
蝋梅の花は、春を告げるにも春を染めるにも淡過ぎるのだろう。いいかげんがわからず、いいかげんにしか咲かない。まあ、それがいいかげんというものなのだろう。
蝋梅の咲き切ってなお二つ三つ
(2024-02-09)
Early Spring by The Michael O'Neill Quartet