水円 岳

あらかんの怠け者のおっさんです。俳句から超長編小説まであらゆる文章を書きます。恥も冷や汗もかきますが、デリカシーにはかけます。作話は画像連想式です。

水円 岳

あらかんの怠け者のおっさんです。俳句から超長編小説まであらゆる文章を書きます。恥も冷や汗もかきますが、デリカシーにはかけます。作話は画像連想式です。

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  • てぃくる

    長編小説『ぐりーんふぃんがーずくらぶ日誌』の幕間繋ぎ用に書き連ねてきた小ネタ集を、独立させました。画像と短い文章の組み合わせ。内容は雑多です。

  • アナウンス&作品紹介

    自作小説の新作アナウンス、公開済み作品の紹介などをつらつらと。

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せるふ いんとろだくしょん ……てか?

 えーと。水円 岳と申します。  せるふ・いんとろだくしょんをぶちかましておこうと思います。 せ 性格は明るいと思いますが、怠け者で、気は利きません。 る るっくすは年齢相応のおっさん……というか爺さんです。 ふ 服装を考えるのが面倒なので、年中同じような格好をしています。 いん 印象的なものを見たり、聴いたり、感じたりするのは好きです。 と とにかくいろんな文章を書き散らします。超短文から超長編までなんでもござれ。 ろ 老化してきたなあという実感はあります。特に

    • てぃくる 1047 早まったか

      「なあ、俺らちょっと早まったんちゃうか?」 「独立するにはまだ早かったよな」 「そんなん、ずっと前からわかっとるわ。俺は独立する気なんざなかったで」 「ニートまっしぐらか!」 「いや、そこまではようせえへんけど、まだ中身ないし」 「だよなあ……」  ちゅうことで。まだ青いうちに落ちてしまったシラキの実がしわだらけでぼやいてました。アクシデントがあったのか、親木がこいつらもう要らんと放り出したのか、ともあれ。彼ら自身が早まって飛び降りたわけではないことを、代わりに弁明しておき

      • てぃくる 1046 輪郭を解く

         梅雨が明けてからというもの、日差しという日差しが熱の角をぎりりと立てて地表をあまねく白く灼き尽くしてきた。時折訪れる雷雨の慰めはほんのわずかで、かつ気まぐれだ。ほぼ一ヶ月近くまとまった降雨に恵まれぬまま、乾き切った地表には事切れた枯れ草が倒れ伏している。  生き物の気配は熱に押しつぶされてひどく薄くなり、濃いのはどこまでも眩い炎光と、それに辛うじて抗った者が落とす黒焦げの影だけだった。  だが。解けてきたのだ。光の束が、徐々に。  輪郭がぼやけ、そこから夏がほつれる。隙間

        • てぃくる 1045 夏の翼

          わたしたちは 夏には飛べない 翼はあっても 夏には使えないんだ それでも わたしたちを見て みんな口々に言うんだ 翼があるなら 飛べばいいのにって だから わたしたちは言い返す ねえ あなたたちには翼がないよね 翼がないくせに 無責任なことを言わないで!  イヌシデは果穂に苞が発達し、翼のように見えます。苞の根元に種子があり、秋に種子が熟すと苞が風を受けて種子を遠くに運びます。まだ果軸から苞が外れない夏の間は、翼はあっても使われないということですね。 ◇ ◇ ◇

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        記事

          てぃくる 1044 修羅場?

          「父ちゃん! 母ちゃんや俺を殴る気だろ!」 「……」 「児童虐待も妻へのDVもハンザイなんだぞ!」 「てか」 一方的におまえに殴られて、青あざこさえてるのは父ちゃんなんだが。  倒れてるのも父ちゃんだけです。はい。  もちろん、ハンザイの匂いなぞかけらもありません。このキノコはコウジタケ。傘が赤く、傷つくとその部分が青く変わり、麹のような甘い匂いがする……というわかりやすい特徴を持っています。  イグチの仲間としては比較的ポピュラーで、身近なところにぽこぽこ発生するん

          てぃくる 1044 修羅場?

          てぃくる 1043 ごみちゃうで

           なんだかなあ。ひどないか?  おれ、ごみちゃうで! 立派なとんぼやで!  水色メガネのおしゃれな塩辛やで!  え? おしゃれな塩辛なんか聞いたことないって?  ほっとけ。  いや、実際のところ、シオカラトンボっておしゃれさんだと思うんですよ。黄色、黒、赤が基調色のトンボが多い中で、淡い青(水色)がトレードマークというのはとてもユニークです。男の子限定ですけどね。  ところが。おしゃれさんのシオカラトンボなのに、なぜか着陸する場所が枯れ草だらけのごしゃごしゃ小汚い場所

          てぃくる 1043 ごみちゃうで

          てぃくる 1042 スイカのふりをする

          「俺はスイカだ」 「無理があるって。黒いしましまがないし」 「いや、俺はスイカだ」 「だあかあらあ、あんたみたいなチビがスイカ名乗ってどうすんだよ。無理だって」 「どうしても俺はスイカだ!」 「中身がタネしかないのに、どこがスイカなんだ?」 「頼むよ……俺はスイカなんだ」 「そこまでしてスイカのふりをする意味がどこにあんの?」 スイカのふりをしないと食われちまうんだよ  いや、スイカだって食われるんですけど。  ということで、どう見てもスイカではありませんし、スイカ

          てぃくる 1042 スイカのふりをする

          てぃくる 1041 競争しなくていい!

          「コンテスト?」 「そう。一番を決めるの」 「美人の?」 「そんなのありふれてるじゃん」 「スポーツ系?」 「それはコンテストじゃなくて、大会」 「だよねー。じゃあ、芸もの?」 「芸じゃ、優勝してもなかなか生き残れないわ」 「確かにねー。ハクはつくけど、売れるには運も必要だし」 「でしょ? もっと確実に生き残れる素質を競うの」 「うーん……何を比べるっての?」 「そりゃあもちろん」 誰が一番臭いかよ!  ヘクソカズラ  気の毒な名前ですが、糞尿に含まれるメチルメ

          てぃくる 1041 競争しなくていい!

          てぃくる 1040 新盆に寄せて

           咋冬に母が世を去り、初めてのお盆を迎えました。  近々納骨式を執り行います。遺品整理も含め、心の整理が一区切りということになるのでしょう。  お盆と言っても、仏教徒ではない私は特段何もいたしません。  そういや母はピンクのものが好きだったなあと、ベランダの花ものをぼんやり眺めながら生前のことを思い返しています。 『追憶』 山が好きだった母は 今頃山に登っているだろうか 旅が好きだった母は 今頃宿で寛いでいるだろうか 花が好きだった母は 今頃花畑を堪能しているだろう

          てぃくる 1040 新盆に寄せて

          てぃくる 1039 見つけてもらえない

          「目立たないってのは損だな……」 「ほ? どうした?」 「いや、仲間の中でも俺は飛び抜けて地味でよ」 「まあな。背は低い、色は汚い、ごみをかぶってる」 「そこまで言うか!」 「てか、おまえが自分で自虐ったんだろが」 「うう、闇堕ちしそうだ」 「何言ってんだか。ほっといても真っ黒けになるだろ」  ということで。クロハツです。名前の通り黒いんですが、真っ黒というより煤けた見た目になります。なので、目立ちません。踏んづけてから、ありゃあんたそこにいたのっていう感じ。  でも

          てぃくる 1039 見つけてもらえない

          てぃくる 1038 薮に入る

          「薮になんか入りたくないよね」 「もちろんだよ。暗いし、狭いし、鬱陶しいし」 「でも、結局藪の中なんでしょ?」 「そういう運命だからしょうがないさ」 「不満だけど、諦めてるってことね」 「ああ」 「本当のところ、不満と諦めとどっちが強いの?」 「わかんないよ。真実は全て薮の中だ」  花も地味。  果実も地味。  葉も地味。  扱いも地味。  それは彼らが選んだ生き方なのだろうか。  わからない。  だが。  見回せばあちこちにヤブランの茂みがあり。  たくさんの花

          てぃくる 1038 薮に入る

          てぃくる 1037 ちぎり絵

          夏の熱を ちぎり取って 絵にする 熱は じっとしていない いつの間にか 剥がれて 絵から熱に 戻る ◇ ◇ ◇  白、ピンク、赤と濃淡様々なサルスベリがありますが、わたしは赤が好きです。  夏の暑さを象徴しながらも、ふわふわと柔らかい。どれほど熱くても全ては灼き尽くせないんだよと、夏をなだめるようにふわりと咲き溢れる姿に、生命の柔らかさを感じます。  さて。  熱中症にならないよう、歩みを早めることにしましょう。あなたはゆっくり咲いてていいからね。 ちぎり絵を足

          てぃくる 1037 ちぎり絵

          てぃくる 1036 見かけによらない

          「ふむ。清楚な感じのお嬢さんじゃないか。色も白いし、スタイルもいい。ちょっと下膨れな感じはするが」 「ええ……見てくれはいいんですよ」 「中身は違うのか?」 「とんでもない毒女です」  テングタケの仲間は有毒なものが多いんですが、中でも代表格は致死的な毒キノコのタマゴテングタケとドクツルタケ。逆に言えば、それ以外のものは毒があってもそこそこだろうと甘く見られるきらいがありました。でも、猛毒種が持っているアマトキシン系の毒は、他の類縁種にも含まれているんですよね。  今回お見

          てぃくる 1036 見かけによらない

          てぃくる 1035 暑い

          「森の緑は、色が涼しげだし、木陰が涼をもたらしてくれる。君らは夏の暑さを和らげてくれる素敵な存在だ」 「俺たちをほめてくれてありがとう。でも」 「でも?」 俺たちは暑いんだよ!  さすがに30度台後半だと、どんなに暑さに強いと言われている木でも活性が下がってきます。葉の緑は褪せ気味になりますし、光合成等の生産活動も途切れ気味に。土が乾いて水を得にくくなりますからねえ。  みなさまにおかれましては。しっかり水分と涼を摂り、無理をなさらず、十分ご自愛のほどを。  わたしはす

          てぃくる 1035 暑い

          てぃくる 1034 微妙な色

           赤とか白とか黒とか。ぱきっとした色を名に冠するものはわかりやすい。  だが、灰色とか茶色とか、中間色かつ多数派の色が名前につくともういけない。それでどうやって区別しろと言うんだ! もうちょっと考えて名付けしてくれ!  いや、ほんまに。実際のところ、本当に困るんですよ。もっと特徴を反映させたぱきっとした名前にしてくれないかなーって。  で、こやつ。クリイロイグチです。困っちゃいますよ。栗色ってそもそもどんな色だっけ。そう思いません?  いや、これに似たきのこがないならいい

          てぃくる 1034 微妙な色

          てぃくる 1033 ド派手

          「やっぱさあ、あたしたちくらいに派手っ派手にしないと目立てないよねえ」 「そうよ。ケバ過ぎるくらいでちょうどいいのよ」 「でもさあ。これだけド派手だから目立てるけど、あたしたちの扱い、ヒドくない? 雑草と同列だよ?」 「しょうがないよー。あたしたち、もともと雑草みたいなものだしぃ」  ソバカスのチャーミングなオニユリが、草むらの中でこれでもかと爆裂していました。  本来なら、もっと見通しの効く明るいところの方が好みなのでしょう。どれだけド派手でも、薮の中に埋もれてしまうの

          てぃくる 1033 ド派手