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水草律子
2019年10月4日 19:41
まだ赦されないのか――最初の寝覚めで、彼はまずそう思った。そして、またすぐに眠り始めた。 つらい、かなしい、何でわたしがこんな目に逢わないといけないのだろう――彼はやりようのない怒りで揺れ、涙を流した。永遠かと思うほど泣き続け、それでも疲れ果てて眠りに落ちた。 彼は自由だった昔の頃を思い返していた。素晴らしいとき、何の制約もなく、行きたいところにはどこにでも行け、全てのものを手にし