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藤岡陽子『きのうのオレンジ』読了

若くして病気で亡くなる話を読むのは苦手だ。そんな人もいるだろう。ただ私の苦手な理由は私の独特のものだ。ただ、ここでは書きたくない。

オレンジ色は日の出の色でもあり、夕暮れの色でもある。そのあいだに青空が広がっている。凌賀と恭平の関係はそれと同じだったのかもしれない。青空の淵と淵をオレンジ色の太陽が包み込む関係。登山靴の青とオレンジと同じ関係。

本の影響を受けやすい性格なのか、吉本ばななの『白河夜船』では「優しすぎるということは、きっと冷たすぎるからなのだろうか」という言葉に共鳴しながら、この本を読んだら優しすぎるということは、そのまま優しすぎるということなのだと思ってしまった。

最後に凌賀が納得できて死ねたことにホッとしている。

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