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安部公房『壁』読了2

『壁』についての考察及び疑問点
2.『壁』のイメージ
前にも述べたように、安部公房のキーワードは『壁』だと私は考える。直球勝負で書かれた『壁』には、だから安部公房の要素が詰まっているだろう。
それでは安部公房にとって『壁』とは何なのであろうか?
この1冊には固形物、建築物としての壁も出てくるが、基本的には想像物としての壁と考える。
著者にとっての壁とは、動物園の檻の中にいる獣のように、常識世界(日常生活)に安住するためにあるのではなく、想像力(創造力)で打ち破るべきものだった。(革新)
また、壁は現実世界と空想世界との境い目でもあった。
更に言えば、壁は生と死の境い目でもあったと私は考えている。物語の中で最後に主人公の死を思わせる終わり方が多いのも、そのためではないか。もしかしたら安部公房は死後の世界を夢見ていたのかも。

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