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重松清『流星ワゴン』読了
他人のことはわからない。親だって子だって相手のことはわからない。自分のことだってわからないのだからそれは当たり前のこと。人は自分の知ってほしいことだけ知ってもらいたくて、知ってほしくないことを聞き出そうとすると怒りを覚える。人にはわかり合いたい部分とわかり合いたくない部分がある。だから人間関係は難しい。
もしやり直すことができたら、そう思うことはたくさんある。数えればきりがない。そんなことできるわけがないのに。それでも、すべてそれらは私の大切な場所。主人公をじれったく感じるのは、自分の過去がじれったいからなのだ。
この本は私の過去の不幸だった部分だけ浮かび上がらせる。小説だから過去に戻れる。現実はそうはいかない。気が重くなる。
過去は変えられない。しかし、この本は自分の意志しだいで未来を変えることはできるという希望を与えてくれる。