安部公房『壁あつき部屋』(安部公房映画シナリオ撰より)
巣鴨刑務所のB、C級戦犯たちの物語。
上官は俘虜や原住民殺しを部下に命令し、部下は上官の命令に従わざるを得ずに俘虜や原住民殺す。上官(A級戦犯)は政治犯だから罪が軽く、部下(B、C級戦犯)は刑事犯だから死刑にもなる。戦争では強者は責任を負わず、いつも弱者が犠牲者になる。『私は貝になりたい』(中居正広ではなくフランキー堺のほう)を思い出した。
講和条約を結び、日本国が巣鴨刑務所の囚人を釈放する権利を手にするが、アメリカの顔色を窺い、釈放しない。釈放すると困る人たちがいたことも理由だろう。
国の政治に無関心なのは、国の言いなりになることと一緒だということを、国民は真剣に考えなければいけない時期に来ている。
このシナリオ撰には『砂の女』、『他人の顔』、『燃えつきた地図』も入っている。小説がどのようにシナリオに変わるのかも興味深い。